エアレース・開幕戦で室屋義秀6位。次戦の日本で飛躍の予感! (3ページ目)

  • 浅田真樹●取材・文 text by Asada Masaki photo by Asada Masaki

「フライトデータやコースの状況を掌握できる。彼の力は大きい」

 室屋もそう言って、フリーラブの分析力の高さを認める。これまで「何となくの感覚でしか分からなかったこと」が、具体的なデータとして示されることは、室屋のフライトに落ち着きと自信を与えてくれた。

 だが、ラウンド・オブ・14のフライトは、分析力に優れたフリーラブの想像をも超えていた。呆れたような表情を浮かべ、フリーラブが語る。

「まったく信じられない。ヨシ(室屋)は僕の計算を上回るタイムを出すのだから」

 続くラウンド・オブ・8に勝ち上がった室屋は、結局、予選6位のピート・マクロード(カナダ)と対戦し、惜しくも0.481秒差で敗れた。室屋のタイムは59秒597。夕方になり、風向きが変わったことで全体にタイムが落ちるなか、数字だけを見れば、ラウンド・オブ・14から1秒以上遅れたことになる。

 それでも室屋は「少しミスがあったのでパーフェクトに飛んでいればという思いもあるが、機体の性能をどう引き出すかという点では、ほぼベスト」と語り、納得の表情で今季開幕戦を終えた。何より「他のパイロットよりも、すべてのフライトを安定して飛べている」ことへの手応えは大きかった。

 こうなると、次なる期待は5月16、17日に行なわれる第2戦。日本初開催のエアレースである。

 会場となる千葉・幕張海浜公園は、室屋が過去に何度もエアショーで飛んだことのある場所。気象条件も把握しやすく、何より住み慣れた日本で準備を進められるのは大きなアドバンテージとなる。室屋は「気合いはもちろん入るが、オーバーヒートしないようにしなければいけない」と、はやる気持ちを抑えて準備を進める。

3 / 4

厳選ピックアップ

キーワード

このページのトップに戻る