2014.11.04

【F1】岐路に立つ可夢偉。来季のカギを握るのはホンダ

  • 米家峰起●取材・文 text by Yoneya Mineoki

 小林可夢偉がオースティンの空港に降り立つと、雲ひとつない真っ青な空が広がっていた。しかし吹き付ける風は冷たい。

USGPのサーキットに姿を見せた小林可夢偉 photo by Yoneya Mineoki USGPの金曜を迎え、サーキット・オブ・ジ・アメリカズではフリー走行が始まっていた。しかし、ケータハムは前週に経営陣がチーム運営を放棄、すべては管財人の手に渡り、このオースティンにはやって来ていない。

 それでも可夢偉がオースティンに行こうと決めたのは、F1をあきらめないという意思表明のためだった。

「状況は厳しいですけど、来年F1に残るということを最優先に考えて、どういうチャンスがあるか、F1の世界に残れるようにできる限りのことはしたいと思っています。だからこそ、こういう状況でもあきらめずに踏みとどまってなんとか努力をしようと思ってここに来ました」

 サーキットに到着してすぐに、F1界のボスであるバーニー・エクレストン(FOMのCEO)のオフィスを訪れて彼の側近に会い、チーム関係者との面会もし、海外のメディアに対して自分の気持ちを率直に語った。

「ご覧の通り、ロゴも何もない黒いシャツで来てます。今週は、レースはできないし、(次戦の)ブラジルにも行かないし、(最終戦の)アブダビGPもどうなるか分からないし。正直言って、チームの状況について詳しいことは僕には分からないです。チーム経営陣から連絡はなかったし、ネットの報道を見て状況を知ったくらいです。あとはチームスタッフのみんなから個人的に連絡をもらって状況を理解したという感じです」

 7月にケータハムを買収した新経営陣は、チームが抱えた負債を処理することなくレースを続け、最後は資金繰りができなくなって行き詰まった。結局のところ、ドライバーにもチームスタッフにも何ら説明のないまま去っていったという。管財人の手に渡ったチームは、まだアブダビGP出場の可能性と来季への存続の可能性を残してはいるものの、現実的に見てそれは非常に難しいだろうとチーム関係者は語る。

 しかし、可夢偉はチーム経営陣に対する怒りはないと言う。