【F1】マクラーレン・ホンダへ移行中。名門の中心に日本人エンジニアあり (2ページ目)

  • 米家峰起●取材・文 text by Yoneya Mineoki 桜井淳雄●撮影 photo by Sakurai Atsuo(BOOZY.CO)

 金曜日から土曜日まで断続的に雨が降り続き、一度もドライコンディションで走ることがないまま迎えた決勝の路面はドライ。まったく走行データがない中で決勝レースに臨むことになったが、今井には自信があった。

「あの状況は、我々にとってはメリットだったんです。事前のシミュレーションや準備の精度は高いと自信を持っています。我々は、(各チーム)走行データが少ない金曜日には良いところにいるのに、週末が進むにつれて(ライバルがデータを収集し始めると)ズルズルとポジションが落ちていくというパターンがよくあります。つまり、データがないところで勝負をするというのは我々にとっては良いことだったんです」

最終戦ブラジルGPで、14番グリッドのジェンソン・バトンは4位まで浮上した最終戦ブラジルGPで、14番グリッドのジェンソン・バトンは4位まで浮上した 今井の言葉どおり、予選Q2で敗退し、下位グリッドからスタートしたジェンソン・バトンとセルジオ・ペレスは、ドライコンディションの決勝で他を圧倒するペースを見せて次々とポジションを上げていった。

「ドライ走行のデータがありませんでしたから、過去のこのサーキットでのレースデータと今年のピレリタイヤのデータを元に、シミュレーターを使ってタイヤへの入力の分析をし、クルマのセットアップをして、それをクルマに当て込んで戦略を導き出したんです。あとはデグラデーション(タイヤの性能低下)が予想より少し大きかったので、レース中に少しずつ誤差修正をしながら戦いました」

 レース中の今井は、ピットガレージ中央でコンピュータの画面上に映し出されるマシンからの走行データを常にチェックし、ドライバー担当レースエンジニアや戦略専任エンジニアと緊迫したやりとりを交わしながらレース戦略に携わっている。

 ブラジルGP決勝、予定よりも早めにピットインしたマクラーレンの2台は、新品タイヤのグリップを生かしてハイペースで走行し、性能の低下したタイヤで走り続けた前走車たちがピットインしたときに前に出てさらに順位を上げていった。

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