2013.03.13

【MotoGP】オールジャパン体制が誕生。
「イデミツ・ホンダ・チームアジア」の可能性

  • 西村章●取材・文 text by Nishimura Akira photo by Nishimura Akira

「イデミツ・ホンダ・チームアジア」のライダーは高橋裕紀 日本の名だたる大企業が、二輪ロードレースチームのメインスポンサーを務めるのは、実に久々の出来事だ。石油大手として有名な出光興産が、昨秋に結成された「チームタディ」のタイトルスポンサーとなり、「イデミツ・ホンダ・チームアジア」として2013年シーズンのMotoGP・Moto2クラスに参戦を開始する。

「チームタディ」は、最高峰クラス世界ランキング2位(1997年)という日本人選手の最高記録を持つ岡田忠之が、日本のロードレース環境を活性化させ、さらには広くアジアの若手有望選手の育成をも視野に入れて、世界の舞台で活動する場を提供するために立ち上げた組織だ。

 Moto2はホンダ製600ccエンジンによるワンメークレースのカテゴリーだが、車体に関しては自由な設計が許容されている。岡田のチームではモリワキエンジニアリングのフレームを採用し、サスペンションはショーワ、ブレーキにNISSIN、と国産企業で固め、そのマシンを操るライダーにはグランプリ生活9年目を迎える高橋裕紀が選ばれた。さらには出光興産がそのタイトルスポンサーにつくことになったのだから、これこそまさに「オールジャパン・パッケージ」のチーム、というべきだろう。

 出光興産は国内有数の石油企業で、アポロマークが配されたガソリンスタンドは国内のどこに行ってもごくふつうに見かける。当然ながら、四輪・二輪製造企業の各社とも深い関係を持っている。

 だが、ことモータースポーツに関しては決して積極的な活動をしてきたわけではない。過去には全日本ロードレース選手権や、ルマン24時間レースで優勝を遂げたマツダのスポンサーをしていた時代もあるが、それらはいずれも1990年初頭、つまりバブルがはじける前夜までの話、だ。やがて日本経済が不況の波に覆われて、デフレが顕在化してゆくと、各企業は、広く人口に膾炙(かいしゃ)するわけでもないモータースポーツでの広告活動を見合わせるようになってゆく。出光興産もその例外ではなかった。