【MotoGP】地元選手が大活躍したマレーシアGPで考えた
「日本人ライダーの不振」

  • 西村章●取材・文 text by Nishimura Akira
  • 竹内秀信●撮影 photo by Takeuchi Hidenobu

激しい雨に見舞われたマレーシアGP。厳しいコンディションのなか、MotoGPはダニ・ペドロサが優勝した激しい雨に見舞われたマレーシアGP。厳しいコンディションのなか、MotoGPはダニ・ペドロサが優勝した 2012年第16戦マレーシアGPは、決勝日の午後が大荒れの天候になった。南国特有の粒の大きな雨が降りしきるなか、Moto3クラスは規定周回数の18ラップでレースが行なわれたものの、Moto2クラスと最高峰のMotoGPは激しい雨の影響で、本来の予定よりも短い周回数で終了した。

 この難しいコンディションのなか、MotoGPクラスで優勝を飾ったのはダニ・ペドロサ(レプソル・ホンダ・チーム)。後半戦6戦中5勝という強さも圧倒的だが、今回の勝利は、自他共に課題としてきたウェットコンディションで周回ごとに後続を突き放す勝ち方だっただけに、本人としても喜びもひとしお。

「MotoGPだけではなく、グランプリ全キャリアでのウェット初勝利なので、今日の優勝は本当にうれしい」と相好を崩した。

 チャンピオンシップをリードするホルヘ・ロレンソ(ヤマハ・ファクトリー・レーシング)は2位に入り、チャンピオン獲得に向けて着々と地固めを行なっているものの、ペドロサとのポイント差は2戦を残して23。安全とも危険とも言いきれない微妙な点数の開き具合だ。

 ところで、今回のレースは、マレーシアの人々にとって、今後も長く語り継がれてゆく一日になりそうだ。Moto3クラスでマレーシア人選手が同国史上初めて、グランプリの表彰台を獲得するという偉業を達成したのだ。

 今年からMoto3クラスに参戦している「ファーミ」ことズルファーミ・カイルディンは、開幕前のテストから高い資質を見せ、開幕以降もたびたびトップ争いに顔を出してきた。だが、レース序盤で集団を引っ張っても、後続選手のスリップストリーム(風除け)に利用され、勝負どころの終盤に次々と追い抜かれてしまい自らは集団においてけぼりをくらう、というパターンが続いた。

 しかし、今回のホームグランプリでは頭ひとつ抜けた速さを見せ、まずは土曜日の予選でポールポジションを獲得。マレーシア人の世界グランプリ初ポールで、しかもこの日は自身21回目の誕生日。フロントロー記者会見の場でバースデーケーキを授与されるという記念すべき一日になった。

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