【競馬】皐月賞でこそ生きる、本命サトノクラウンの「特性」

  • 河合力●文 text by Kawai Chikara
  • 村田利之●撮影 photo by Murata Toshiyuki

4月特集 春競馬、クライマックス(8)

皐月賞「3強」の勝算(1)サトノクラウン編

 4月19日に行なわれるGI皐月賞(中山・芝2000m)。3歳牡馬によるクラシック第1弾は、今年も多彩なメンバーがそろった。なかでも、目下の最有力候補となるのは、3戦3勝のサトノクラウン(牡3歳/父マルジュ)だろう。

皐月賞で1番人気が予想されるサトノクラウン。皐月賞で1番人気が予想されるサトノクラウン。 サトノクラウンは、昨年の2歳新馬(2014年10月25日/東京・芝1800m)でデビュー。スローペースとなった一戦を快勝すると、早くも2戦目で重賞に挑戦し、素質馬が集結したGIII東京スポーツ杯2歳S(以下、東スポ杯2歳S。2014年11月24日/東京・芝1800m)に駒を進めた。

 最内1番枠からスタートした同馬は、直線で他馬に囲まれる厳しい状況になったものの、わずかな隙間を縫って勝利。たぐいまれな闘争心を見せつけて、クラシック候補の一頭に名を連ねた。

 そして圧巻だったのは、年明け初戦となったGII弥生賞(3月8日/中山・芝2000m)。中団を追走したサトノクラウンは、初体験となる右回りや中山の急坂をものともせず、他馬を寄せつけない完勝劇を演じてみせた。このパフォーマンスにより、クラシックの「有力候補」から、確固たる「主役」になったのだった。

 全3戦で見せた能力はもちろん、何より頼もしいのは、レースセンスの良さ。いかなるペース、条件にも対応し、狭い進路にもひるまない。3戦それぞれ異なる展開を難なくこなして、結果を出した。過去2戦で手綱をとった福永祐一騎手(※皐月賞はルメール騎手が騎乗)も、弥生賞のあとに「操作性が高くて乗りやすい」とコメント。折り合い面で騎手を悩ませることもなく、若駒らしからぬ優等生ぶりを見せつけている。
 
 しかし、サトノクラウン自身の性格は、そういった優等生のイメージとは少し違うようだ。そして、その性格こそが、この馬の強さにつながっていると言える。

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