競馬 関屋記念で高速決着を制すのは? 新鋭若手騎手が札幌から乗りに来る伏兵の一発に期待

  • 武藤大作●取材・構成 text by Mutoh Daisaku

ダービージョッキー
大西直宏が読む「3連単のヒモ穴」

――夏競馬は早くも後半戦に突入しています。新潟では今週、GIII関屋記念(8月11日/新潟・芝1600m)が行なわれますが、このレースについて、大西さんはどんな印象をお持ちですか。

大西直宏(以下、大西)関屋記念は、毎年頭数がそろって、良好な馬場コンディションのなかで激戦が繰り広げられる一戦、といった感じでしょうか。速い時計が出やすいレースで、最近では牝馬の活躍が目立っています。昔から牝馬は「夏場に強い」と言われますが、近年は酷暑の影響でその傾向がさらに強まっている印象があります。

――確かに、昨年は牝馬がワンツーフィニッシュ。過去6年の連対馬を見ても、12頭中7頭が牝馬でした。一方、脚質については、これといった傾向はなく、逃げ切り、追い込み、あらゆるタイプが結果を残しています。

大西 脚質に偏りがないということは、どの馬も力を発揮しやすいということ。長い直線のレースですから、差し・追い込み馬が優勢といったイメージがありますが、実際には、逃げ馬や2番手で運んだ馬がよく勝ち負けを演じています。

 新潟の外回りは、実は後ろから運ぶ馬にとっては意外と乗り難しいコース。直線の割合が多く、仕掛けのポイントが判断しづらいからです。ですから、必ずしも差し・追い込みが有利とは言えません。

 このコースで求められるのは、スピードの持久力。脚質についてはあまり考えすぎず、マイルの距離をどれだけのタイムで走れるか、に重きを置いて検討するほうがいいと思います。

――今年の出走メンバーを見ると、芝マイルで1分31秒台をマークしたことがある馬が8頭もいます。

大西 現在、パリオリンピックが開催されていて、陸上競技においては世界有数の選手たちが速いタイムを競ってハイレベルな戦いを見せていますが、それと同様、これだけ速い時計に対応できる馬がいれば、自然と速い決着になりそうですね。

 先週の1勝クラスでも、ペースが速かったのもありますが、1分32秒5という勝ち時計がマークされました。単純な比較からしても、重賞となれば1分31秒台の争いになる可能性は高いでしょう。

――上位人気は割れそうですが、大西さんが注目している上位候補はどういった面々でしょうか。

大西 前走で3勝クラスを勝ち上がったばかりですが、ジュンブロッサム(牡5歳)はこの舞台の適性が高そうです。前走の3勝クラス・水無月S(6月8日/京都・芝1600m)では、斤量58kgを背負って1分31秒5の勝ち時計をマークして後続を突き放しました。最後の1ハロンで10秒9を計測するなど、非常に優秀な末脚の持ち主です。

 この馬は過去に、2000m戦、1800m戦でもレコードを記録しており、高速決着を得意にしています。上位人気の馬では、最も魅力的な存在です。

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