ダービーで本命が受ける重圧は計り知れない 実績ありながら人気薄という馬には要注意 (2ページ目)

  • 武藤大作●取材・構成 text by Mutoh Daisaku

 とはいえ、彼にはもう、重圧に押しつぶされるような弱さはありません。先週のGIオークスでも、1番人気のステレンボッシュに騎乗して勝ちに等しい競馬を見せました。結果は惜しくも2着に終わりましたが、それは勝った馬が強かっただけ。僕の目には、騎乗自体に非はなかったと思います。

 もちろん、オークスを勝って今週に臨むことができれば一番よかったのでしょうが、"負けて強し"の競馬ができたことは、戸崎騎手自身の今後へ向けても、直近のダービーに向けても、自信につながったはずです。

 ジャスティンミラノはこれまでの3戦を見ても、ゲートの出脚が速くて、すんなり好位を取れるスピードがあります。それでいて折り合いもつくので、乗り難しいタイプではありません。

 こういう馬であれば、いくつものレースプランを用意する必要もないですし、騎乗に対する迷いが生まれることもありません。そんな馬の安定感、戸崎騎手の今の充実ぶりからして、この人馬がダービー制覇に最も近い存在だと思います。

――ジャスティンミラノの二冠濃厚といった感じですが、穴馬的な存在として大西さんが気になっている馬はいますか。

大西 皐月賞2着のコスモキュランダ(牡3歳)に注目しています。この馬も、皐月賞はジャスティンミラノと同タイムのレコードで走破。ゴール前の強襲ぶりなど、走りの中身は勝ち馬と互角と呼べるものでした。

ダービーでの一発が期待されるコスモキュランダ photo by Kyodo Newsダービーでの一発が期待されるコスモキュランダ photo by Kyodo Newsこの記事に関連する写真を見る それでいて、下馬評ではそこまで人気にならないのは、プロフィールが地味だからでしょうか。

 新馬戦はタイムオーバーすれすれの大負け。屈辱的なキャリアのスタートとなって、初勝利までに4戦を要しました。そこまでは、とてもエリートの戦績と呼べるものではありません。

 しかしその後、芝2000m戦を走るたびに時計を短縮し、格上挑戦となった2走前のGII弥生賞(3月3日/中山・芝2000m)を制覇。その勢いで皐月賞も2着と好走し、持ちタイムを3秒近く縮めたことにはとても驚かされました。

 フロックでこの時計では走れません。明らかに馬が充実期に入っていると考えられます。

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