小倉2歳Sで期待の2頭「日本競馬史に残る名スプリンター」の血統と兄姉にコース実績のある素質馬

  • 平出貴昭●文 text by Hiraide Takaaki
  • photo by Sankei Visual

 9月3日(日)、小倉競馬場で2歳馬によるGⅢ小倉2歳S(芝1200m)が行なわれる。

 このレースの勝ち馬は3歳以降に活躍できないタイプも多かったが、2016年の勝ち馬レーヌミノルがGⅠ桜花賞を制覇。その後はGⅠ勝ち馬こそ出ていないものの、2020年の勝ち馬メイケイエールは重賞6勝、2021年の勝ち馬で先週のGⅢキーンランドCを勝ったナムラクレアも重賞4勝と、4歳以降も活躍する馬が増えている。

 有力馬の将来性なども踏まえつつ、血統的視点からレースを分析していきたい。

新馬戦を圧勝したビッグドリーム新馬戦を圧勝したビッグドリームこの記事に関連する写真を見る 最近の芝1200m戦で要注目な種牡馬の1頭がビッグアーサーだ。同馬は現役時代、GⅠ高松宮記念など全8勝を芝1200mで挙げたスプリンター。その父サクラバクシンオーも、GⅠスプリンターズSを連覇した日本競馬史に残る名スプリンターだ。

 種牡馬としては、今年のJRA総合サイアーランキングでは30位以下だが、芝1200mに限るとロードカナロアに続く2位。勝率は同馬の9.2%を超える10.6%の成績を残している。

 ビッグアーサーの種牡馬成績を詳しく見ると、通算61勝中、実に約77%を占める47勝(芝38勝、ダート9勝)が芝1200mという典型的な短距離タイプ。重賞2勝もトウシンマカオのGⅢ京阪杯、ブトンドールのGⅢ函館2歳Sといずれも芝1200mだ。小倉・芝1200mでは7勝と、福島の9勝に続く勝利数となっている。

 今年はビッグアーサー産駒からビッグドリーム(牡2歳、栗東・西園正都厩舎)が出走予定だ。

 同馬は前走、福島・芝1200mで行なわれた新馬戦で6馬身差の圧勝を見せている。良馬場の勝ちタイム1分10秒2は平凡で、相手に恵まれたところもあった。だが、直線であっさりと突き離してムチを入れることはなく、ゴール前は手綱を抑えていただけに、時計だけでは計れないスケールの大きさを感じた。

 血統も優秀だ。全兄ビッグシーザーは今年のマーガレットS(阪神・芝1200m)を2馬身差で快勝するなど、芝1200mのオープンを3勝。GⅢ葵Sでも0秒1差の3着に入っており、今後のスプリント戦線の中心になり得る素質馬だ。また、母のいとこに米GⅠドンHなどGⅠ2勝のムシャウィッシュがいる活気ある牝系。将来性の面でも期待できる存在だ。

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