安田記念に強い「ストームキャットの血」を持つ中でベスト条件の馬は? モーリス産駒もマイルGⅠ初勝利を狙う (2ページ目)

  • 平出貴昭●文 text by Hiraide Takaaki
  • photo by Sankei Visual

 イルーシヴパンサーは昨年の安田記念にも出走しており、1番人気で8着と敗れている。同レースは1000m通過58秒7と、安田記念としては遅めの流れになり、後方16~17番手で競馬をしたイルーシヴパンサーには展開が向かなかった。そんな中でも上がり3Fは32秒6と最速タイを記録しており、実力の片鱗は見せている。

今年に入ってからは京都金杯(中京・芝1600m)を豪快に差し切り。前走のGⅡ中山記念(中山・芝1800m)は8着と敗れたが、最後の直線では前が壁になり、最内の進路を奪われて最後は追うのを止めていたように、完全に脚を余してしまっていた。スムーズなら勝ち負けだっただろう。

 今回は、昨年の安田記念以来の東京コースとなるが、東京・芝1600mは4戦3勝と得意条件。昨年のGⅢ東京新聞杯では2着に1馬身3/4差の完勝を見せており、ベスト条件と言ってもよく、昨年の雪辱を果たしたい。

 もう1頭はジャックドール(牡5歳、栗東・藤岡健一厩舎)を推す。父モーリスは2015年の安田記念を含め、日本と香港のマイルGⅠを4勝した名マイラー。産駒は本馬のほか、GⅠスプリンターズSのピクシーナイト、GⅠエリザベス女王杯のジェラルディーナ、芝1600~2500mの豪GⅠを3勝したヒトツ、芝1200mの豪GⅠ勝ち馬マズと、幅広い距離のGⅠ馬を出している。

 ジャックドールは初のマイル戦で、モーリス産駒も日本でマイルGⅠの勝利はないが、自身の走りなどからも問題はなさそう。また、遠縁だが、2013年の2着馬ショウナンマイティとは同族になる。ショウナンマイティも大阪杯(当時はGⅡ)の勝利があるなど共通点があるため、同馬に続く好走を期待したい。

 以上、今年の安田記念はイルーシヴパンサー、ジャックドールの2頭に注目する。

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