堤礼実アナがかつてないほどの衝撃を受けた一戦を振り返る。「私の競馬観戦史上、最高のレース」
堤 礼実連載:『華麗なるウマ話』第43回
スポルティーバとフジテレビの競馬中継番組『みんなのKEIBA』とのコラボ企画、堤礼実アナウンサーの連載『華麗なるウマ話』。今回は、大いに盛り上がっている秋のGIシリーズにあって、競馬史に残るような衝撃的なレースとなった天皇賞・秋について振り返ってもらった――。
競馬番組を担当して4年目。これまでにもハラハラドキドキのレースはいくつも見てきましたが、そうした経験があったうえでもなお、私の競馬観戦史上「最高のレース」と言っても過言ではないほど、すばらしいレースを見せてもらった――それが、今年のGI天皇賞・秋を見ての率直な感想です。
レース当日、東京競馬場に詰めかけた6万人の観衆のみなさんも、きっと似たような思いを抱いたのではないでしょうか。レース中、フジテレビのスタジオにも、スタンドからの抑えきれない興奮や熱気が伝わってきました。
レースを振り返れば、勝ったイクイノックスの強さが示されたレースだったことは間違いありません。この春のクラシックでは、GI皐月賞、GI日本ダービーと2着惜敗が続いていましたが、ついに念願のGI初勝利。歴戦の古馬相手に、鮮やかな差し切り勝ちを決めました。
と同時に、今年のGⅠレースでの1番人気の連敗記録もようやくストップ。周囲に漂う嫌なムードも自らの豪脚で吹き飛ばしました。
イクイノックスはまだ3歳ですし、デビュー以来、5戦しか走っていません。まだまだ底を見せておらず、これから先どれだけ強くなるのか、本当に楽しみです。
また、競馬歴が浅い私にとっては、この馬がキタサンブラックの子だというのも感慨深いものがありました。
キタサンブラックは、私がちょうど競馬番組に携わり始めた時に大活躍していたスターホース。その子どもが初めてGⅠを勝つところを目にしたことで、競馬の醍醐味をまたひとつ味わえたような気がしています。
ディープインパクトやキングカメハメハなど、偉大な種牡馬の名前はもちろん知っていますが、彼らの現役時代の走りをリアルタイムで見ているわけではありません。それがやっと、私も「お父さんのキタサンブラックが活躍した姿も見てきたんだよ」と言えるようになったのです(笑)。
親から子へと脈々と血が受け継がれていく血統の世界は、競馬のロマン。こうしてキタサンブラック産駒のGⅠ制覇を見ることができて、すごく幸せです。
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