エリザベス女王杯は人気薄の逃げ馬で大穴を狙いにいく。血統やデータによれば、昨年覇者の「リピート」も可能性十分 (2ページ目)

  • 平出貴昭●文 text by Hiraide Takaaki
  • photo by Sankei Visual

 ローザノワールは芝では1800mまでしか勝利がなく、2200mも初となるが、父マンハッタンカフェはGⅠ菊花賞、GⅠ有馬記念、GⅠ天皇賞・春を勝ったステイヤー。その産駒にも天皇賞・春の「父仔制覇」を果たしたヒルノダムールなど、同じように長い距離を得意とする馬が多い。エリザベス女王杯では、2016年に3番人気クイーンズリングと12番人気シングウィズジョイでワンツーフィニッシュを果たした。

 さらに、母の父オーサムアゲインという配合は、芝2200mのGⅡオールカマーを勝ったルージュバックと同じ組み合わせだ。ルージュバックは5歳時のエリザベス女王杯(京都)では展開不向きで9着と敗れているが、今年のGⅠ大阪杯(阪神・芝2000m)ではルージュバックの半弟ポタジェ(父ディープインパクト)が8番人気(単勝58.7倍)で勝利しており、コース適性は高そう。逃げ粘りの波乱演出に期待する。

 2番手にはアカイイト(牝5歳、栗東・中竹和也厩舎)を推したい。昨年に10番人気で勝って驚かせた馬だが、振り返れば血統的に納得できる点は少なくなかった。父キズナの姉ファレノプシスが2000年の勝ち馬であり、父と同じディープインパクト×ストームキャット配合のラキシスが2014年に勝利。母の父シンボリクリスエスは2016年2着のシングウィズジョイの母の父と、エリザベス女王杯での実績がある血統だったのだ。

 また、このレースは"リピーター"が多いことでも知られている。1998、99年のメジロドーベル、2003、04年のアドマイヤグルーヴ、2010、11年のスノーフェアリー、2019、20年のラッキーライラックと4頭が連覇。そのほか、クロコスミアが2017年から3年連続で2着に入るなど、芝2200mの3歳以上戦になった1996年以降の26回のレースで、2度以上馬券に絡んだ馬は実に16頭を数える。昨年、馬券に絡んだ馬で今年も出走するのはアカイイトだけなので、データ的にも買える存在だ。

 以上、今年のエリザベス女王杯は、マンハッタンカフェ産駒の逃げ馬ローザノワール、キズナ産駒で昨年の勝ち馬であるアカイイトに期待する。

2 / 2

関連記事

キーワード

このページのトップに戻る