秋華賞は二冠馬スターズオンアースら既成勢力が優位も、唯一のディープ産駒から激走ムード漂う (2ページ目)

  • 大西直宏●解説 analysis by Onishi Naohiro
  • photo by Sankei Visual

 川田騎手はスターズオンアースの手綱をとって桜花賞を勝つも、オークスではアートハウスの鞍上を務めました。アートハウスの母パールコードの主戦だった川田騎手としては、お母さんが惜しくも手にできなかったGIタイトルを、その娘に獲らせてあげたいという思いもあったのではないでしょうか。

 ただ、オークスでは直線で一度は先頭に立つも、残り1ハロンを辛抱できずに7着と敗れました。レースぶりはとてもスムーズで、直線を向いてからの手応えもよかったと思いますが、春の時点ではまだ完成途上だったのでしょう。その分、最後まで粘ることができませんでした。

 そこから、夏を越して本当の意味での力をつけたアートハウス。ローズSでは、成長曲線がハッキリと描かれていました。いつもどおりの先行策から、早め先頭に立つ横綱相撲で完勝しました。最後は2着サリエラに詰め寄られましたが、終(しま)いの脚に衰えはなく、着差以上の強さを感じました。

 この馬の戦法と脚の使い方からして、コーナー4つの2000mという舞台は合っていると思います。コース適性だけなら、スターズオンアースよりもアートハウスのほうに分がありそう。逆転のシーンがあっても、まったく不思議ではありません。

 他では高野友和厩舎の2頭、オークス2着のスタニングローズ(牝3歳)と3着のナミュール(牝3歳)が人気を集めそうですが、僕は紫苑Sを勝ってさらに高い支持を得そうなスタニングローズより、ナミュールのほうが気になります。

 距離に不安があったオークスでも見せ場を作って、さすが桜花賞までこの世代の主役を張ってきた馬だけあるなと思いましたし、同馬の底力の高さを改めて痛感させられました。

 オークスでは直線で強引にインに進路をとった時、少しササり気味になってしまいました。その際、立て直すためにはどうしてもスピードが落ちるので、その分だけ負けた印象があります。スムーズに外に出して真っ直ぐ伸びていたら、もう少し際どいところまで持ち込めたように思います。

 春は馬体減りを気にして、加減しながら調整してきたみたいですね。夏を越した今回はしっかりと充電して馬体を回復させてきていると思います。

 加えて、外回りで長く脚を使う馬といったイメージが強いと思いますが、僕はこの馬について、内回りで一瞬の脚を使わせたほうが合っているのではないかと思っています。阪神・芝2000mの舞台は、実はこの馬向きではないかと見ています。

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