凱旋門賞初制覇を狙う日本調教馬にとって、強力なライバルとなる外国馬4頭 (2ページ目)

  • 土屋真光●文 text&photo by Tsuchiya Masamitsu

 加えて言えば、ルクセンブルクの評価を高めたのは、このレースに凱旋門賞に出走予定の有力馬がこぞって参戦していたことが大きい。

 フランスダービー(シャンティイ・芝2100m)、エクリプスS(サンダウン・芝1990m)とGI2連勝中だったヴァデニ(牡3歳/フランス)をはじめ、GIパリ大賞(パリロンシャン・芝2400m)の覇者オネスト(牡3歳/フランス)に、昨年のドバイシーマクラシックの勝ち馬でGI通算3勝のミシュリフ(牡5歳/イギリス)。

 さらには、アイルランドのGIタタソールズゴールドC(カラ・芝2100m)を勝っているアレンカー(牡4歳/イギリス)、そして日本ダービー馬ドウデュースのオーナーである松島正昭氏が共有するGI馬ブルーム(牡6歳/アイルランド)も出走。

 ルクセンブルクはこれらを相手に、直線半ばで抜け出して鮮やかな勝利を飾った。この結果、2歳時の評価が間違っていなかったことを証明し、凱旋門賞でも主役の座に躍り出た。

 同馬を管理するのは、世界的な名伯楽エイダン・オブライエン調教師。凱旋門賞では初めての2400m戦、アイルランドとは異なる渋った馬場が課題となるが、同調教師は「問題ない」と強気な姿勢を崩さない。

 また、ここで敗れた面々も決して侮れない。どの馬も凱旋門賞で巻き返すだけの力は十分に秘めている。とりわけヴァデニオネストはともに"ホーム"となるフランスに戻る点は大きい。

 続いて、日本馬にとって大きな"壁"となりそうなのは、イギリス調教馬のアルピニスタ(牝5歳)である。昨春から出走取消を1戦挟んで、7戦連続勝利中。このうち、直近5戦はいずれも芝2400m前後のGI戦というのは、かなりの強調材料と言える。

 昨年はドイツでGI3連勝を飾って、今年はフランスのGIサンクルー大賞(サンクルー・芝2400m)、イギリスのGIヨークシャーオークス(ヨーク・芝2370m)と、それぞれ鋭い決め手を繰り出して完勝している。

 同馬の強みはその秘めた末脚だが、ドイツでGIを3勝しているように、力の要る馬場を苦にしない点も大きな武器。この週末は重馬場が予想されており、アルピニスタにとっては願ってもない条件となりそうだ。

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