ウマ娘の初代主人公・スペシャルウィーク。その数奇な運命、武豊との出会い、ダービー優勝 (4ページ目)
エルコンドルパサーの借りを返した、というのは勝手な幻想かもしれないが、このレースは力が入った。多くのファンがそんな思いを抱いていたはずだ。その中で、きっちりと仕留めたスペシャルウィーク。ダービーにせよジャパンカップにせよ、つくづく重圧のなかで"頼りになる馬"だった。
続く12月のGⅠ有馬記念(中山・芝2500m)を最後に、スペシャルウィークは引退した。その舞台では、やはり同世代のライバル・グラスワンダーにわずか4cmの差で惜敗(2着)。だが、実はレース後、武騎手は勝利を確信してウイニングランをしてしまった。
珍事といえば珍事だが、今となってはこの人馬の微笑ましいエピソードに思える。振り返ると、スペシャルウィークはレースのたびにさまざまなポジションから、さまざまな戦略をとった。先行して早々先頭に立つこともあれば、最後方から直線一気の追い込みを見せたこともある。ジャパンカップの3コーナーもそのひとつ。武騎手と息を合わせ、人馬一体でレースを作っていたように見えてならない。
もしかするとそれは、幼い頃から人に育てられ、よく懐いたことも影響しているのかもしれない。生まれた直後に母を亡くしたスペシャルウィーク。その1頭が、やがて名手・武豊と出会い、最高のコンビとなっていく。この馬の生涯を振り返った時、そんな人との"縁"に想いを馳せてならない。
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