「ウマ娘」で男性に弱い性格はそのまま。メジロドーベルは牝馬限定戦に強かった (2ページ目)

  • 河合力●文 text by Kawai Chikara
  • photo by Kyodo News

 ただ、その後は厩務員との関係もよいものになっていったという。こういったエピソードにも、メジロドーベルの独特な性格や気性の一面が表れているのではないだろうか。

 このレースのあとに挑んだのが、3歳牝馬が戦う「牝馬三冠レース」の第1弾、GⅠ桜花賞(阪神・芝1600m)だった。実績は1番のメジロドーベルだが、当日は2番人気でレースを迎えた。その理由のひとつは、前走の敗戦による不安。そしてもうひとつ、大きな理由があった。強力なライバルが現れたのだ。

 そのライバルとは、圧倒的なスピードを武器に勝ち上がってきたキョウエイマーチである。デビューから5戦4勝、快足を生かした先行逃げ切りのレースが身上だった。

 あいにくの雨により、もっとも芝コンディションの悪い「不良馬場」で行なわれた桜花賞。このレースは、メジロドーベルが後方から外を回って必死に追い上げるも、先行して抜け出したキョウエイマーチに敗れてしまう。

 正攻法で牝馬に屈したメジロドーベルだが、キョウエイマーチは、1600mなら牡馬の一線級と渡り合うほどの強さがあった。メジロドーベルの走りも決して評価を落とすものではなかった。

 そうして次に迎えたのが、GⅠオークスである。牝馬三冠の2戦目。1番人気はキョウエイマーチ、メジロドーベルは2番人気でレースを迎えた。

 桜花賞から距離が800m伸びるオークス。スタートから先頭に立ったキョウエイマーチに対し、メジロドーベルは16頭立ての10番手あたりからじっくりレースを進める。折り合いも問題なさそうだ。

 そして直線。スタミナに不安のあったキョウエイマーチが脱落するなか、メジロドーベルは凄まじい迫力で馬群を抜け出してきた。この日の芝も、水分を含んだタフなコンディション。そんな状況をものともせず、泥んこのメジロドーベルは力強く後続を突き放したのだった。

 彼女が獲得した2つ目の牝馬GⅠ。オークスでの走りは、その力強さを存分に発揮したレースだった。

 このあと、メジロドーベルは牝馬GⅠタイトルを積み上げていく。同年秋には、牝馬三冠の最終戦となるGⅠ秋華賞を制覇。キョウエイマーチとの3度目の対戦は、メジロドーベル1着、キョウエイマーチ2着という結果になった。

 さらには、1998年、1999年と、牝馬限定のGⅠエリザベス女王杯を連覇。牝馬同士では、最後まですばらしいパフォーマンスを見せた馬だった。

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