検索

「ウマ娘」再注目のゴールドシップ。語り継がれる唯一無二の走り (3ページ目)

  • 河合力●文 text by Kawai Chikara
  • photo by Kyodo News

 皐月賞のあと、ゴールドシップは3歳秋にGⅠ菊花賞(京都・芝3000m)とGⅠ有馬記念(中山・芝2500m)を連勝した。この2戦も、常識破りのロングスパートで勝利。特に菊花賞では、後方2番手から残り1200mあたりでスパートを開始。外から上がって先頭集団に並びかけた。そのまま直線入口で先頭に立つと、豪快に押し切った。京都の芝3000mでは"タブー"とされる、異例の超ロングスパートだった。

 3歳までのゴールドシップは、成績こそ安定していたが、すでに"気分屋"の性格で有名だった。調教後に突然暴れ、スタッフにケガをさせたこともある。他の馬を威嚇し、調教でもやる気を出さないこともあった。毎回、位置取りが後方になるのも、スタートで騎手の指示に従わず、すぐに加速しない性格面が起因していた。

 そんな気分屋の一面は、翌4歳(2013年)から徐々にレースにも表れる。

 代表的な一戦が、4歳の4月に挑んだGⅠ天皇賞・春(京都・芝3200m)。長距離戦に強く、向かうところ敵なしのゴールドシップは、単勝1.3倍という圧倒的人気に押された。しかし、後方からレースを進めたものの、今までのようなロングスパートが決まらない。人気を裏切り5着に敗れてしまった。

 そうかと思えば、続く6月のGⅠ宝塚記念(阪神・芝2200m)は"別馬"のようなレースぶりで快勝。前半から珍しく先行し、非の打ち所がない優等生の走りを見せたのだ。

 そのまま復活するかと思いきや、秋にはGⅠジャパンカップ(東京・芝2400m)で15着と大敗するなど、1年近くGⅠ勝利から遠のいてしまう。

 よみがえったのは、5歳(2014年)になった6月の宝塚記念。復活をかけたゴールドシップは、ベテランの横山典弘騎手とコンビを結成。横山騎手は3週間にわたってゴールドシップの調教に乗り、どうすればゴールドシップの気持ちが乗るか、走る気が出るかを追求したという。そうして、見事に勝利を飾った。

3 / 4

厳選ピックアップ

キーワード

このページのトップに戻る