「奇跡のヒロイン」ソダシ。白毛馬初のクラシック制覇の可能性は? (2ページ目)

  • 新山藍朗●文 text by Niiyama Airo
  • photo by Kyodo News

 過去に越えてきた"壁"に比べて、今度の"壁"は一段と高く、分厚い。現実的に、ソダシが戴冠を遂げる可能性はどれぐらいあるのだろうか。

 その可能性を探るべく、まずはソダシが競走馬として優れている点を見ていきたい。

「この馬の一番いいところは、先行できるところです」

 そう語るのは、関西の競馬専門紙記者である。確かにソダシは、初陣からスッと好位につけて、先行抜け出しといった勝ちパターンが多い。この戦法は手堅く、取りこぼしが少ないという利点がある。

 若い馬はある程度の位置で我慢させようとすると、引っかかったり、折り合いをかいたりすることが多いが、ソダシはデビュー当時からそうした心配がなく、この戦法をしっかりと身につけている。

 これが、この馬の何よりの強みだ。

 ただ、そうやって我慢がきくからといって、性格的に素直とか、大人びているというわけではない。普段は、幼くてやんちゃ。母のブチコはレース直前にゲートにぶつかって出走除外になるほどゲート難のある馬だったが、ソダシもその血筋どおり、ゲートはうるさい。

「でも、この馬は走り出すと、途端に真面目で、一生懸命になる。オンとオフの使い分けがしっかりできている。そこが、次にいいところ」と、先の専門紙記者は言う。

 さらに、勝負根性にも見るべきものがある。

 いい例となるのは、ゴール前が際どかった阪神JF。一度は内から強襲してきたサトノレイナスにかわされたかのように見えたが、ソダシはそこからもうひと伸びして、結果的にはハナ差前に出て勝った。

「馬というのは、他の馬に横に来られると怯むことが多い。でもこの馬は、横に来られると、逆に力を発揮する。ゆえに、僅差の競馬に強い。これも、この馬のいいところですね」(専門紙記者)

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