ジャパンCに満を持しての参戦。仏GⅠ馬には好走できる計算がある (2ページ目)
そして今年、満を持しての参戦。今回が引退レースで、アイルランドでの種牡馬入りも決まっている。だが、決して引退前の"思い出出走"ではない。コロナ禍でオーナーも調教師も来日することが困難であり、物見遊山ではないのだ。
6月のサンクルー大賞までは中1週が4戦続いたが、勝利したあとはジャパンCからの逆算で調整された。
「正直、サンクルー大賞は連戦の疲れが出ていて、本来のパフォーマンスではなかったと思います。それでも指定レースを勝ち切ったので、堂々と日本に向かえます。サンクルー大賞のあとは、ジャパンCを見据えて間隔を取りながらしっかりと馬を作り直しました」(マルチアリス調教師)
この言葉からも、報奨金は後づけのボーナスであって、これが主目的ではないことが伝わってくる。
また、「3強」をはじめとする日本馬が非常に強力であることは理解しているが、陣営には好走できる計算がある。
まずは馬場だ。ヨーロッパ調教馬は、「近年の日本の高速化された馬場に適応できない」とされている。事実、2006年に3着となったウィジャボード以来、馬券に絡んだ外国招待馬はいない。敗れた陣営はみな、レベルアップした日本馬と、高速化された馬場に敗因を求めた。
しかしウェイトゥパリス陣営は、「欧州の重馬場が合わない。むしろ今年の東京の馬場ぐらいがちょうどいい」と、早い段階から適性に言及している。重馬場だった今年の凱旋門賞では9着だったが、これも馬場とスローペースが敗因であるとした。逆に今年の重賞2勝は、いずれも良馬場でのレースで挙げている。
血統面でも、父系のデインヒル、母系にあるコジーン、ヌレイエフ、バックパッサーといった名前は、いずれも日本の馬場に実績・親和性のある種牡馬ばかり。コジーンを遡れば、日本の大舞台で強いとされるグレイソヴリンの名もある。
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