ジャパンCで空前絶後の3強対決が実現。過去にもあった伝説の3強物語 (2ページ目)

  • 新山藍朗●文 text by Niiyama Airo
  • photo by Kyodo News

 1976年の菊花賞は、グリーングラスが勝って、テンポイントが2着、トウショウボーイが3着。翌年、古馬となって最初の対決となったGI宝塚記念では、トウショウボーイが勝利し、テンポイントが2着、グリーングラスが3着だった。その後、最後の3強対決となったのは、その年のGI有馬記念。テンポイントが優勝し、トウショウボーイが2着、グリーングラスが3着だった。

 また、この3頭がすごかったのは、いずれも年度代表馬に選ばれていることだ。

 トウショウボーイはGI皐月賞と有馬記念を制した1976年に、テンポイントはGI天皇賞・春と有馬記念を勝った1977年に、グリーングラスは有馬記念で有終の美を飾った1979年に受賞している。

 ひとつの世代から、これだけの年度代表馬が出るのも珍しい。後世へと語り継がれるにふさわしい「3強対決」だった。

 次に挙げるとすれば、オグリキャップ、スーパークリーク、イナリワンの、いわゆる「平成の3強対決」だろうか。

 人気、知名度で言えば、オグリキャップが断然ではあるが、こうした「3強」と呼ばれるようなライバルと出会っていなければ、オグリキャップ自身、これほどの人気も、名声も得ることはなかっただろう。

 オグリキャップとイナリワンは地方競馬出身の雑草魂。一方、スーパークリークは菊花賞で武豊騎手に初のGI勝ちをもたらした中央のエリート。年齢は、イナリワンが他の2頭より1歳上だった。

 この3頭が激しい火花を散らしたのは、1989年。平成元年の秋シーズンである。

「3強対決」としての幕開けは、GI天皇賞・秋だった。ここでは、オグリキャップが単勝1倍台という圧倒的な人気を集めたが、スーパークリークの武豊騎手が「120%の騎乗」と言った巧みな手綱さばきを披露し、2着オグリキャップをクビ差凌いで勝利を飾った。イナリワンは6着だった。

2 / 4

厳選ピックアップ

キーワード

このページのトップに戻る