凱旋門賞で日本のディアドラに騎乗する名ジョッキーの男気に感謝 (4ページ目)

  • 土屋真光●文・撮影 text & photo by Tsuchiya Masamitsu

 1頭目はペルシアンキング(牡4歳)だ。デビュー以来、マイル~1800mでGⅠを3勝しており、前走のムーランドロンシャン賞ではピナトゥボ、シスキンといった英愛のトップマイラーを相手に完勝した。

 パリロンシャンでは3戦3勝で、昨年のGⅠ仏2000ギニーでは不良馬場で勝利している。前々走の、フランス・ドーヴィル競馬場で行なわれたジャックルマロワ賞の敗戦(4着)は、入れ込み気味だったことと、直線競馬だったことに敗因を求めたい。
 
 2400mは初めての出走だが、管理するアンドレ・ファーブル調教師が無謀な挑戦をするとは考えにくい。ファーブル厩舎は、昨年の覇者ヴァルトガイストをはじめ、凱旋門賞で史上最多の8勝を挙げている点も大きなプラス材料だ。

 続いて、今年のGⅠ独ダービー馬インスウープ(牡3歳)。全兄はジャパンCで来日したイトウだ。とにかく"ズブい"馬で、鞍上が追ってもなかなかギアが上がらない。だが、ひとたび伸び始めると、どこまでも伸びていきそうな末脚は、渋った馬場でこそ本領を発揮しそう。

 前走のGⅠパリ大賞2着も、ようやっとエンジンがかかったところでゴールし、鮮やかに抜けたモーグルを捕まえきれなかった。しかし相手が完璧すぎたゆえの結果で、あれ以上の競馬をする馬がいなければ期待も膨らむ。

 最後はシャシュナック(牡3歳)を挙げたい。GⅠ勝ちはないが、前走はあえて9月13日のパリ大賞ではなく、1週前のGⅢプランスドランジュ賞を使ってきっちり勝利。本番に向けて余力十分なローテーションに好感が持てる。

 その前走は早めに抜け出す競馬で勝ったが、6月のGⅢギシュ賞は中団から差す競馬で勝利するなど、レーススタイルは万能。今回の凱旋門賞では、サーペンタイン(牡3歳)の逃げを一番うまく利用できそうな1頭だ。

 エネイブルの偉業達成か、それとも伏兵が波乱を起こすのか。はたまた、日本競馬界に大きな歓喜をもたらすのか。日曜の深夜まで目が離せない。

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