誰もが「モノが違う」と唸ったレシステンシア。武豊がその未来を救った (2ページ目)

  • 河合力●文 text by Kawai Chikara
  • photo by Eiichi Yamane/AFLO

 終わってみれば、2着に5馬身差をつける圧勝劇を披露。1分32秒7というレコードタイムを刻んで、見事にGIタイトルを手にした。

 一躍、今春の3歳牝馬クラシックの"主役"候補となったレシステンシア。同馬を管理する松下厩舎のスタッフは、これまでの活躍について、決して驚いていないという。関西競馬専門紙のトラックマンがその様子を伝える。

「レシステンシアを担当する厩務員の方は、同馬に『乗る人、乗る人が"モノが違う"と話していた』と言っていました。そして、『自分も初めて(レシステンシアに)触った時から、素質を感じた』と。牝馬とは思えないオーラを放っていて、阪神JF翌日の取材でも(多くの取材陣に囲まれて)驚いた様子もなく、すごく落ちついていました」

 担当の厩務員の方は、レシステンシアのこれまでを振り返って、「武豊騎手に感謝している」といった話もしていたという。先述のトラックマンが、そのエピソードについて説明する。

「デビュー戦では武豊騎手が手綱を取ったのですが、馬がゲート入りを嫌がった時、(スタート担当の)係員がムチで叩いてゲートに入れようとしたそうなんです。すると、武豊騎手が『ちゃんと(ゲートに)入るので、ムチで叩かないでほしい』と、その係員を制止してくれたんだとか。2歳牝馬がデビュー戦から厳しいことをされれば、レースへの恐怖心を抱く可能性があります。ゆえに、厩務員の方は『レシステンシアの今後を考えてくれた、豊さんに感謝している』と、いつも話しています」

 レシステンシアに関わった人たちは、そもそもその能力の高さを把握していた。そして実際、2歳女王に輝いた。今春のクラシックでも、見ている者の度肝を抜くような、圧巻の走りを見せてくれることを期待したい。

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