「2強」が見せた揺るぎない強さ。3歳牡馬ランキングはどうなった? (3ページ目)

  • text by Sportiva
  • photo by Yasuo Ito/AFLO

 2位も、前回と同じくサリオス。同馬も朝日杯FSを勝ったことで、総合ポイントは4ポイント上昇。コントレイルとのポイント差を、前回よりも縮めた。

吉田順一氏(デイリー馬三郎)
「阪神の芝1600mで施行される朝日杯FSの位置づけは、2歳馬にとって最大目標の舞台であることに変わりはないと思っています。クラシックのGI皐月賞が中山・芝2000m、GI日本ダービーが東京・芝2400mで施行されることを踏まえれば、経験値を高める意味合いも少ないと見ていいでしょう。まして、サリオスは関東馬。本来であれば、皐月賞と同じ舞台のホープフルSに出走するのが定石です。

 それをあえてしなかったのは、オーナーサイドによる使い分けや、ライアン・ムーア騎手が騎乗できるレースでの使用など、いろいろな理由が考えられますが、最も重視したのは、(2歳戦最高峰の舞台で勝ち負けできる)今の完成度を考慮した、という印象が強いです。そして実際、朝日杯FSでは圧巻のレースを見せてくました。

 超大型馬のハーツクライ産駒で、き甲(馬の首と背中の間にある膨らみ)などの抜けや、全体のバランスなどからしても、まだまだ良化途上。つなぎが短めで、適度に柔らかみがある分、一瞬の脚を使ったり、一気のギアチェンジに対応したり、という脚もまだ足りないように見えます。とはいえ、搭載エンジンがすばらしく、心肺機能が高いことは、朝日杯FSのラップが物語っています。

 前半4ハロン45秒4、後半4ハロン47秒6のハイペースを、好位3番手から早めにアクセルを踏んでいくレースぶりには『強い』のひと言。2~4着馬が後方からの立ち回り、5、6着馬も中団だったことを鑑みれば、『怪物的な強さ』と評価していいでしょう。しかも、勝ちタイムは1分33秒0と秀逸。あと、長距離輸送でも舞い上がることなく、落ち着き十分に歩いていたパドックも好感が持てました」

市丸博司氏(パソコン競馬ライター)
「朝日杯FSの覇者サリオスは、個人ランクでは3位としましたが、TF指数(※市丸氏が独自に編み出したデータ指数)は、上位2頭とわずか1ポイント差です。朝日杯FSは、2~6着馬がすべて4角後方にいた馬で、ペースがかなり速く、明らかに差し、押し込み勢に有利な流れでした。ところが、サリオスは1頭だけ、3番手から競馬をして、早め先頭から押し切り勝ち。最優秀2歳牡馬のタイトルは逃しましたが、コントレイルと同じ、もしくは上という評価があってもおかしくないでしょう」

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