AJCCは大胆な乗り替わりで勝負気配漂う
「善戦マン」の大駆けにご用心

  • 大西直宏●解説 analysis by Onishi Naohiro

ダービージョッキー
大西直宏が読む「3連単のヒモ穴」

 昨年末から数えると、連続9週の開催となる中山競馬。迎えた最終週に行なわれるのは、伝統のGIIアメリカジョッキークラブC(以下、AJCC。1月26日/中山・芝2200m)です。

 先週は、雨や雪が降るなかでの競馬となり、中山競馬場の馬場も一気に内側が荒れてきました。そうしたなか、GIII京成杯ではクリスタルブラックが大外からの追い込みを決めました。そして今週も、予報では天気が崩れる見込みで、道悪が得意な馬、外からの競馬を試みる馬にとって、ますます有利な状況になるかもしれません。

 今年のAJCCは、出走予定12頭中、9頭が重賞勝ち馬という好メンバーが顔をそろえました。なかでも注目は、ブラストワンピース(牡5歳)でしょう。一昨年のGI有馬記念(中山・芝2500m)を制したグランプリホースが、GI凱旋門賞(11着。2019年10月6日/フランス・芝2400m)からの帰国初戦に、このレースを選んだことには驚きました。

 その実績から、GIIのここでは話題の中心になることは確実。各メディアやファンの間では、推す声、疑う声が入り乱れるかと思いますが、個人的には格の違いで期待に応えてくれる、と思っています。

 鞍上は、昨夏から手綱をとる川田将雅騎手が引き続き務めます。初騎乗となったGII札幌記念(1着。2019年8月18日/札幌・芝2000m)では、それまでのブラストワンピースのイメージとは違う競馬を披露。馬群の中から徐々に押し上げていき、直線に入ってからも、馬群をさばいて抜け出してきました。

 デビューからずっと騎乗してきた池添謙一騎手からの乗り替わり。しかも、凱旋門賞の前哨戦という難しいシチュエーションでした。相手もそろっていて、川田騎手にとっては、かなりプレッシャーのかかるレースだったと思うのですが、新たなスタイルを引き出しての勝利には、感服しました。

 あれで、川田騎手自身も安堵したことでしょうし、関係者からの信頼も得られたのではないでしょうか。凱旋門賞では残念ながら結果を残せませんでしたが、今回、中山でのレースにもかかわらず、川田騎手が継続して鞍上を任されたのは、その証拠だと思います。

 凱旋門賞は、かなり馬場が悪い状態でのレースとなり、日本から遠征した3頭にとっては、酷な競馬となりました。先に復帰したフィエールマン(凱旋門賞12着)が、年末の有馬記念(2019年12月22日)で4着と見せ場を作ったように、そこでの結果は度外視していいと思います。同時に、海外遠征帰国初戦という点も、今やさほど割り引く必要はないでしょう。

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