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有馬記念でサートゥルナーリアは巻き返す。
「謎の弱点」克服で勝算あり

  • 新山藍朗●文 text by Niiyama Airo
  • photo by Yasuo Ito/AFLO

 不可解な敗戦だった。

 4角までいい手応えで先行しながら、直線で追い出されると、反応がさっぱり。後ろから追い込んでくる馬たちに、次々に抜かれる姿には目を覆いたくなった。

 GI天皇賞・秋(10月27日/東京・芝2000m)におけるサートゥルナーリア(牡3歳)のことだ。

 単勝3.4倍の2番人気。3歳馬ながら、断然人気を誇るアーモンドアイ(牝4歳)の最大のライバルは、この馬と見ていた。

 しかし、結果は馬券圏外どころか、掲示板にも載らない6着に沈んだ。

天皇賞・秋では6着に終わったサートゥルナーリア天皇賞・秋では6着に終わったサートゥルナーリア 暮れのグランプリ、GI有馬記念(12月22日/中山・芝2500m)でも、サートゥルナーリアは上位人気が予想されるが、その取り捨てはひとえに、この天皇賞・秋の敗戦をどう評価するかにかかっているだろう。

 競馬サイトなど、ネットの掲示板などで多数の意見を占めるのは、サートゥルナーリアは「左回りがダメ」とするものだ。

 確かに、過去7戦5勝のサートゥルナーリアが負けた2回は、GI日本ダービー(4着。5月26日/東京・芝2400m)と、先の天皇賞・秋と、いずれも舞台は左回りの東京競馬場だった。

 右回りでは、GI2勝。天皇賞・秋の前に臨んだGII神戸新聞杯(9月22日/阪神・芝2400m)でも、他を寄せつけない圧倒的な強さを見せて勝利した。

 相手が違うとはいえ、右回りでの強い競馬と、左回りにおける"普通の馬"の競馬との間には、同じ馬とは思えないほどの歴然とした差がある。

 では、サートゥルナーリアは、本当に左回りがダメなのか。

「結果は出ていませんが、それでも、極端に下手ということはありません」

 そう語るのは、関西の競馬専門紙記者。この記者によれば、東京コースでの2度の凡走は、左回りの他に理由があるという。

「精神的なもの。もっと言えば、若さが出た。それ以上、詳しいことは言えませんが......」

 それでも、ヒントはある。ダービーを振り返ってみたい。

 あの時、パドックでは落ち着いていたし、堂々としていた。返し馬でも、気持ちよさそうに走っているように見えた。

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