キタサンブラックの全弟、
エブリワンブラックは初陣から天才が騎乗

  • 河合力●文 text by Kawai Chikara
  • photo by Eiichi Yamane/AFLO

厳選!2歳馬情報局(2019年版)
第23回:エブリワンブラック

 先週のGI菊花賞(京都・芝3000m)を制して、昭和、平成、令和と3つの時代でGI制覇を成し遂げた武豊騎手。そんな彼にとって、ゆかりの深い2歳馬がまもなくデビューする。

 栗東トレセンの武幸四郎厩舎に所属するエブリワンブラック(牡2歳/父ブラックタイド)である。

 同馬の全兄はキタサンブラック(牡/父ブラックタイド)。武豊騎手とのコンビで数多くのGIタイトルを手にした、平成時代の終盤を彩った名馬だ。

エブリワンブラックの偉大な兄、キタサンブラックエブリワンブラックの偉大な兄、キタサンブラック キタサンブラックは3歳クラシックにおいて、GI皐月賞(中山・芝2000m)で3着と奮闘。GI日本ダービー(東京・芝2400m)では14着に敗れるも、最後の一冠・菊花賞で念願の戴冠を果たした。そして、年末のGI有馬記念(中山・芝2500m)でも、古馬相手に3着と健闘した。

 ここまではほかの騎手がまたがっていたが、4歳春から武豊騎手が騎乗。以降、5歳秋に引退するまでの全12戦は、武豊騎手とのコンビで、歴史に名を刻む活躍を見せた。

 栄冠獲得はすぐに訪れた。コンビを組んで2戦目のGI天皇賞・春(京都・芝3200m)。長丁場の一戦を絶妙なペースで逃げ切って、強豪ライバルたちを一蹴した。

 そうして、秋にはGIジャパンC(東京・芝2400m)で優勝。後続を寄せ付けない軽快な走りで、2着以下に2馬身半差をつける鮮やかな勝利だった。続く有馬記念は2着に敗れたものの、出走6レース(うちGI4レース)ですべて馬券に絡んで(3着以内)、年度代表馬に輝いた。

 さらに圧巻だったのは、5歳となった2017年。GI大阪杯(阪神・芝2000m)を勝つと、天皇賞・春で見事に連覇を達成した。同レースでは、2006年にディープインパクトがマークしたレコードをコンマ9秒更新する、驚愕のパフォーマンスを披露した。

 それから、秋初戦でGI天皇賞・秋(東京・芝2000m)を快勝。スタートで致命的な出遅れを喫するも、不良馬場のなか、スルスルとポジションを上げていって、劇的な逆転勝利を飾った。

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