英GⅠに挑むベテラン馬、シュヴァルグランに3つの吉兆あり

  • 土屋真光●文 text by Tsuchiya Masamitsu
  • photo by ZUMA Press/AFLO

 日本時間8月21日の深夜、"北のアスコット"とも称されるイギリスのヨーク競馬場で、GⅠインターナショナルステークス(芝2050m)が行なわれる。

 このレースには日本から遠征中のシュヴァルグラン(牡7歳)が、7月に行なわれたGⅠキングジョージ6世&クイーンエリザベスステークス(アスコット/芝2390m)に続いて挑戦するため、日本でも馬券が発売される。日本の秋のGⅠシーズンまではまだひと月以上あるが、ここでビシッと的中させて、秋競馬に向けて弾みをつけたい。

レースに向けて調整を行なうシュヴァルグランレースに向けて調整を行なうシュヴァルグラン ブックメーカーの前売りオッズでは、7月の"キングジョージ"でエネイブルとの死闘の末にクビ差の2着に敗れたクリスタルオーシャン(イギリス・牡5歳)が断然の人気となっている。距離適性に関しては、6月に行なわれたGⅠプリンスオブウェールズステークス(アスコット/芝1990m)の勝ちっぷりから問題は感じられず、少し速い馬場についても、好タイム決着だった昨年の"キングジョージ"で3着以下を大きく離して2着になったことから心配はないだろう。大きく敗れるシーンは想像できず、人気をないがしろにはできない。

 これに続くのは、キングオブコメディ(イギリス・牡3歳)、ジャパン(アイルランド・牡3歳)あたりになるだろう。

 キングオブコメディは前走のGⅠセントジェームズパレスステークス(アスコット・芝1590m)で、1着のサーカスマキシマスを猛然と追い上げて2着。また、ジャパンは6月のGⅠ英ダービー(エプソム・芝2410m)で3着に敗れたあと、GⅡキングエドワード7世ステークス(アスコット・芝2390m)、そしてGⅠパリ大賞(パリロンシャン・芝2400m)で連勝しており、共に勢いは十分だ。
 
 しかし、両馬とも懸念がある。

 このレースの、過去10年の年齢別の成績は以下の通りだ。
 
3歳[4-5-2-13]
4歳[4-2-4-14]
5歳[1-3-4-9]
6歳以上[1-0-0-7]

 一見すると3歳馬と4歳馬が有力だが、2016年までは3歳馬の斤量が現在よりも0.5kg軽かったのだ。昨年の勝ち馬であるロアリングライオンも3歳馬だったが、その前走で古馬を相手に、ほぼ同距離のGⅠエクリプスステークス(サンダウン/芝1990m)も勝利しており、「対古馬」の実績があった。

 対してキングオブコメディやジャパンは古馬との対戦がない。さらに、前者は距離経験がマイル(1600m)までで、後者が前走で勝ったパリ大賞は、近年イギリス、アイルランドよりも1枚落ちるフランスの3歳GⅠでの勝利だっただけに、評価に疑問も残る。

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