サートゥルナーリアは本当に一強か。ぶっつけの皐月賞に隠された不安 (2ページ目)

  • 新山藍朗●文 text by Niiyama Airo
  • photo by Kyodo News

 実績、血統ともに文句なし。そのうえ、同馬を管理するのは、関西の名門・角居勝彦厩舎だ。ゆえに、関西競馬専門紙記者もサートゥルナーリアには一目置いて、こう語る。

「同厩舎は2頭の兄も、母シーザリオも管理していました。つまり、この血統のいいところも、悪いところも知り尽くしています。そして、そのノウハウをすべてこの馬につぎ込んで、兄たちが果たせなかったクラシック制覇を、と意気込んでいます。その点も、サートゥルナーリアにとっては心強い限りでしょう」

「一強」は、もはや誇大でも、過大評価でもない。今年の牡馬クラシックは、サートゥルナーリアが一枚抜けた存在で、他の馬がそれに挑む、という勢力図が見えてくる。

 ただ、磐石に見える「一強」にも、ひとつだけ、不安がある。

 クラシック第1弾の皐月賞(4月14日/中山・芝2000m)が、年末のホープフルS以来の、ぶっつけになるということだ。

 思い出すのは、一昨年。のちのダービー馬レイデオロが、今回のサートゥルナーリアと同じローテーションで皐月賞に挑んだが、結果は5着に終わった。要するに、競馬界最高峰の舞台となる日本ダービー(東京・芝2400m)を勝つほどの能力がある馬でも、このいわば"常識外"のローテーションを克服することができなかったわけだ。

 とはいえ、レイデオロの場合は、ホープフルS後に体調面などの問題があって、このローテーションにせざるを得なかった。そのため、皐月賞では5番人気にとどまった。

 そこは、早々にこのローテーションを選択したサートゥルナーリアとは違う。したがって、今度の皐月賞でも断然の人気が予想されている。

 振り返れば、昨年の桜花賞、異例のローテーションで臨んだアーモンドアイが驚異的な強さを見せて戴冠を果たした。今や、間隔が開いたぶっつけのGI挑戦にも不安がないほど、調整過程にも進歩が見られるのだろう。

2 / 4

厳選ピックアップ

キーワード

このページのトップに戻る