混戦模様の凱旋門賞。強豪馬に対して日本のクリンチャーに勝機は?

  • 土屋真光●取材・文 text by Tsuchiya Masamitsu
  • photo by Panoramic/AFLO

 3連休の中日となる10月7日深夜、フランスでは伝統のGI、凱旋門賞(パリロンシャン・芝2400m)が行なわれる。

 2年に渡る大幅リニューアルが行なわれ、名前もロンシャン競馬場から生まれ変ったパリロンシャン競馬場が舞台となる。リニューアルが施されたのはスタンドやパドックなどで、コースは3年前と同じ。しかし、建物側の改修でコース管理がおろそかになってしまい、その影響が残った今年4月のオープン時は、騎手からかなりの酷評を受けていた。

 芝については夏季期間中にかなり手を施されたようだが、それでも育成が芳しくなく、簡単にはがれやすい状況だ。また、「直線コースの内側が広くなる」と、鳴り物入りで導入されたオープンストレッチも凱旋門賞では使用されない。当日は仮柵が外されて内側からグリーンベルトが顔を出しそうで、このコースをいかに通れるかがカギになりそうだ。

 もうひとつカギとなるのは天候と馬場状態で、陣営の思惑もすっぱりと分かれている。レース当日の天気はやや荒れ気味の予報が出ているが、どちらになるかによっても明暗が分かれそうだ。

 もっとも注目を集めそうなのは、このレースの連覇を狙う、ジョン・ゴスデン厩舎のエネイブル(牝4)だ。

昨年の凱旋門賞を制したエネイブル昨年の凱旋門賞を制したエネイブル 同馬は昨年のこのレースを圧勝したが、今年は膝の故障から使い出しが遅れて9月のセプテンバーS(英ケンプトン・AW2400m)で始動。4頭立てと少頭数だったが、一時は凱旋門賞出走も検討されていたクリスタルオーシャンを子供扱いした。凱旋門賞から逆算しての復帰戦は上々だったが、これを日本のファンがどう捉えるか。1番人気でも単勝3倍以上であれば、無理に嫌う必要もないだろう。

 さらに、複数頭数出しの厩舎が、それぞれ有力馬を擁しているという点も見逃せない。

 凱旋門賞7勝の名伯楽であるアンドレ・ファーブル調教師は、今年は3頭を送り込む。中でもヴァルトガイスト(牡4)はGIを含めて目下4連勝中。そのうち2戦がパリロンシャンの芝2400mで、5月と9月という異なる季節でのレースだけに価値は高い。とりわけ、前哨戦のフォワ賞では、凱旋門賞にも出走する他馬を相手に楽勝した。それだけに、エネイブルと人気を分けるのではないかと見られる。

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