落札総額は過去最高も、今年のセレクトセールは高額馬戦線に異状あり! (2ページ目)

  • 土屋真光●文・写真 text & photo by Tsuchiya Masamitsu

 昨年の"台風の目"的な存在となった合同会社Dmm.comは、今年は7頭を落札。総額では3億2000万円と昨年のようなインパクトはなかったものの、今年も昨年と同じく、キタサンブラックの全弟となるシュガーハートの2018(牡0歳、父ブラックタイド)を1億2500万円で購買。そのほか、1000万円台の馬も数頭購買しており、話題性だけでなく質でも勝負をかけてきている印象を受けた。第1世代から早くもキタノコマンドールをダービーに送り込んで結果を出しているだけに、今後もその動向に注目だ。

 昨年に引き続き、という点では、1日目にミスセレンディピティの2017(牡1歳、父キングカメハメハ)を2億4000万円で、2日目にサンデースマイルⅡの2018(牡0歳、父キングカメハメハ)を1億1500万円、ヒカルアマランサスの2018(牡0歳、父キングカメハメハ)を1億4000万円でと、"億超え"を3頭購買した小笹芳央氏の存在感は大きかった。

「下見から注目していたので欲しかったとはいえ、ムキになりすぎたなと。今はめまいがしています(笑)」と振り返っていたが、小笹氏は総額でも9頭で7億8700万円を購買。現役でホウオウドリームやホウオウパフュームといった活躍馬を所有しており、こちらも今後の飛躍が期待される。

 一方で、あまり見慣れない法人名義での購買が散見された。これらは、既存の馬主で、あえて別名義を使っての購買とのこと。そのいくつかは著名馬主でもあるのだが、あまり公にしたくないという意向があるようだ。

 また、今年も海外からの視線は熱かった。なかでも、現在の世界ランキング(ロンジンワールドサラブレッドランキング)1位であるウインクスを管理するオーストラリアのクリス・ウォラー調教師は、獣医などのチームを伴って参戦。しかし、クールモアなどが日本のビリオネアとの競り合戦であっさり返り討ちに遭ったように、1頭も落札することができなかった。

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