ワグネリアン、皐月賞は「ダービー戴冠へ向けた調整」説は本当なのか (2ページ目)

  • 新山藍朗●文 text by Niiyama Airo
  • photo by Yasuo Ito/AFLO

 勝ったダノンプレミアム(牡3歳)とは1馬身半差。トライアル仕様で、「悪いところばかり出た」というマイナス面を考慮すれば、次、本番の皐月賞(4月15日/中山・芝2000m)では、「何とかなる」という計算が成り立つかもしれない。

 しかも、その"最大のライバル"ダノンプレミアムが皐月賞出走を急遽回避した。戴冠のチャンスは一段と増しているが、中山での、あのスムーズさを欠く走りを見た陣営のトーンは、下がる一方だという。前出の専門紙記者が語る。

「ダノンプレミアムが回避したとはいえ、中山で行なわれる皐月賞には『不安がある』と、陣営は慎重な姿勢を見せています」

 振り返れば、強豪相手の新馬戦を制し、2戦目のオープン特別・野路菊S(2017年9月16日/阪神・芝1800m)も完勝して連勝を飾ったワグネリアン。以来、種牡馬、厩舎、オーナー、そして生産牧場までダービー馬マカヒキと同じということで、一気に期待と注目を集めた。

 そして、注目度が高まる中、GIII東京スポーツ杯2歳S(2017年11月18日/東京・芝1800m)も快勝し、一躍クラシックの有力候補となった。

 とはいえ、デビュー前の評価は決して高くはなかった。陣営のスタッフや主戦の福永祐一騎手も、レースを走る前はこんな印象を口にしていたという。

「馬体が小さくて迫力がないし、調教での走りも抜けているという感じがしない」

 その後、デビュー戦で上がり32秒6という末脚を繰り出して評判馬を下しても、その評価は大きく変わらなかった。「時計はすごいけど、(後続を)離して勝ったわけじゃない。ハナ差で勝っただけ」と、福永騎手のコメントもあっさりしたものだった。

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