ドバイの4競走で「万馬券の油田」を掘り当てる日本調教馬はどれだ? (4ページ目)

  • 土屋真光●文・写真 text & photo by Tsuchiya Masamitsu

 サトノクラウンは不良馬場だった昨年秋の天皇賞・秋(10月29日/東京・芝2000m)で激走した反動が根深かったのか、続くジャパンC、有馬記念(12月24日/中山・芝2500m)は本来の走りを見せることができなかった。今回はオーバーホールをしての出走。もとより、戦績からも休み明けは苦にしないタイプで、加えてこちらも芝の質が同じ香港で実際に勝利を収めている。当日までに雨が降る予報もなく、このまま良馬場で迎えられれば、本領を発揮できるはずだ。

 モズカッチャンも脇役で終わるつもりはないだろう。担当する梛木(なぎ)孝幸調教助手は「輸送で全然へこたれないんですよ。去年の春も小倉、中山、東京、東京と輸送競馬が続いても、最終的にオークスでも2着ですからね」とそのタフぶりを絶賛する。ここドバイでもハービンジャー旋風を吹かせるか注目だ。

 メインのドバイWCには昨年5着と健闘したアウォーディー(牡8歳)が、リベンジを期して再挑戦する。どちらかといえば不向きといえる昨年の馬場で、勝ったアロゲートには大きく離されたが、叩き合いを制して5着は確保した。今回は乾いた馬場で、よりこの馬にとって力を出しやすい条件となりそうだ。さらに、昨年1、2着だったアロゲート、ガンランナーは不在。この2頭を物差しにした場合、今年のメンバーなら昨年ほどの差を感じさせない。近況こそ今ひとつだが、騎乗予定の武豊騎手も「しばらく勝ち星から遠ざかっていますけど、ポテンシャルは高いので力を発揮できればチャンスはある」と、早々に現地に駆けつけ、調教から跨(またが)って本番に備える。

 馬券発売がないところでは、UAEダービーにはルッジェーロ(牡3歳)とタイキフルヴェール(牡3歳)の2頭が出走し、一昨年のラニや、昨年のエピカリスの再現を狙う。ともに500万条件までを勝っただけで、エピカリスらと比較すると戦績的に見劣りはするものの、ふたを開けてみないと判らないのが競馬だ。

 また、ルッジェーロはカトレア賞(11月26日/東京・ダート1600m)を勝利、タイキフェルヴールはヒヤシンスS(2月18日/東京・ダート1600m)で2着に入り、ケンタッキーダービー出走権を競うポイントを保有している。ここでの結果次第でさらに先が拓けるし、今年のUAEのこの路線は例年と比較して層も厚くない。

 第1レースとして行なわれるゴドルフィンマイルにはアディラート(牡4歳)と、アキトクレッセント(牡6歳)が出走する。アディラートは昨年UAEダービーで果敢に先行し見せ場を作った。アキトクレッセントも過去6勝中5勝が1番人気でなく、昨年の武蔵野S(11月11日/東京・ダート1600m)でも15番人気で3着となったように、典型的な穴馬だ。地元勢を筆頭に相手も強力ではあるが、日本調教馬に勢いをつけるためにもいい競馬を見せたい。

 昨年もヴィブロスが下馬評を覆して勝利したように、ここ数年、ドバイワールドカップデーでは日の丸が掲げられるシーンが続いている。果たして、今年もその歓喜の瞬間が訪れるか。

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