手前を替えろ、スワーヴリチャード!それなら有馬記念で古馬に勝てる (3ページ目)

  • 河合力●文 text by Kawai Chikara
  • 村田利之●撮影 photo by Murata Toshiyuki

 直線で手前を切り替えないと、片方の肢に負荷がかかり続けるため、最後の伸びが鈍くなる。実際、皐月賞でも「手前を替えないまま走っていた」と鈴木氏は語る。

「手前を替える練習は、事前に何度も行なっていました。栗東トレセンではもちろん、しがらきでもやっていました。皐月賞前のトレセンの追い切りでは私も現場にいて、調教を見ながら『手前を替えろ!』と何度も叫んでいましたよ(笑)。ただ、速いスピードになると、なかなか替えてくれません。それで結局、皐月賞本番では右手前のまま走り続けてしまったんです」

 こうなると、GIの舞台で勝ち負けを演じるのは厳しい。現に皐月賞では6着に沈んでいる。

 ただ、鈴木氏はそのレースにおいて、スワーヴリチャードの能力の高さを再認識していた。右手前でも最後までじわじわと伸び続け、6着とはいえ、先頭からコンマ4秒差まで詰めていたからだ。

「皐月賞で負けたあと、『これなら左回りのダービーはいける』と思いましたね。そもそもスワーヴリチャードがしがらきに来る前、北海道のノーザンファームにいた頃から『すごい馬がいる』という話は聞いていましたし、実際にデビューして、この馬のレースを見たときに『左回りなら間違いない』と常に自信を持っていました。ですから、ダービーで2着に負けたときは悔しかったです......」

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