手前を替えろ、スワーヴリチャード!それなら有馬記念で古馬に勝てる

  • 河合力●文 text by Kawai Chikara
  • 村田利之●撮影 photo by Murata Toshiyuki

 この秋のGI戦線で際立った活躍を見せているのは、3歳世代だ。そして、GI有馬記念(12月24日/中山・芝2500m)にも、3頭の3歳馬が挑む。とりわけ注目されているのは、スワーヴリチャード(牡3歳)である。

有馬記念で頂点を狙う強力3歳世代のスワーヴリチャード有馬記念で頂点を狙う強力3歳世代のスワーヴリチャード その実績からすれば、この秋躍動した3歳馬と同じく、強豪古馬勢を蹴散らして戴冠を果たしてもおかしくない。ただ、この馬には不安がひとつある。苦手な、右回りの中山競馬場が舞台であることだ。

 昨年9月のデビュー以来、スワーヴリチャードは"ひとつのレース"を除いて、常に1着か、2着という結果を残してきた。

 今年2月には「クラシックの登竜門」とされるGIII共同通信杯(2月12日/東京・芝1800m)を磐石の競馬で勝利。世代の頂点を決するGI日本ダービー(5月28日/東京・芝2400m)でも、2着と好走した。勝ち馬レイデオロとはコンマ1秒差。今や「ハイレベル」と言われるようになった3歳世代の中でも、間違いなくトップクラスである。

 さらにこの秋には、GIIアルゼンチン共和国杯(11月5日/東京・芝2500m)を圧勝。ダービー以来の休み明けながら、曲者ぞろいの古馬勢を難なく一蹴した。世代を超えて、互角以上に戦えることも証明した。

 その実力、臨戦過程においても不安はなく、有馬記念でも有力視される1頭である。が、今回の舞台は右回りの中山競馬場。多くのファンや関係者は、その点を危惧している。

 なぜなら、スワーヴリチャードが崩れた"ひとつのレース"こそ、右回りの中山競馬場で行なわれたGI皐月賞(4月16日/中山・芝2000m)だったからだ。

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