女王を「穴」扱いと侮るな。
ジャパンCはソウルスターリングに要注意

ダービージョッキー
大西直宏が読む「3連単のヒモ穴」

 JRAのホームページにも記されているとおり、東京競馬場と言えば「日本競馬の"顔"」。芝コースは1周2000m以上あり、最後の直線の長さは525.9mに及ぶ。コース幅も最大41mと広々としており、世界規模のスケールの大きな競馬場です。

 ゆえに、世代の頂点を決する東京優駿(日本ダービー)、優駿牝馬(オークス)をはじめ、天皇賞・秋(芝2000m)や安田記念(芝1600m)など、あらゆる部門の「ナンバー1決定戦」として知られる、伝統的なGIの舞台となってきました。

 今週開催されるジャパンカップ(11月26日/東京・芝2400m)は、それらと比べると比較的新しいGIですが、日本競馬が世界に近づく礎(いしずえ)を築いた格式高いレースです。そうなったのも、東京競馬場で行なわれてきたからでしょう。

 そのジャパンカップ。近年では日本馬のレベルが高くなり、外国馬にとっては"アウェー"の地で厳しい戦いを強いられるようになりました。その分、招待レースでありながら、強い外国馬の参戦が極めて少なくなり、ここ最近は日本馬による上位争いがずっと続いています。

 強豪・外国馬が来日しなくなったのは残念なことではありますが、日本馬の強さがそれだけ世界でも認められている、ということなのでしょう。ジャパンカップを創設した趣旨となる「世界に通用する強い馬づくり」が実現している、とも言えるでしょうね。

 そして今年も、トップランクの外国馬の参戦はなく、日本馬優勢のメンバー構成になりました。

 まず注目すべきは、連覇を狙うキタサンブラック(牡5歳)です。

 昨年のジャパンカップは、まさに"ユタカ・マジック"が炸裂。「お見事」としか言いようのない、スタートからゴールまでまったく危なげない競馬を披露しての快勝劇となりました。

 1000m通過が1分1秒7と、ジャパンカップという大舞台にしてはかなり遅い流れでした。それでも、先手を奪った武豊騎手騎乗のキタサンブラックに対して、他の16人のジョッキーは誰ひとりとして競りかけることがありませんでした。また、武豊騎手は早めに動くようなこともなく、レースは淡々と流れていきました。

 これは、道中のラップが遅すぎることなく、それでいて速すぎることもなく、後続の騎手たちも動くに動けない絶妙な流れを作り上げた、武豊騎手の優れた手腕によるものです。

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