大激戦の天皇賞・秋は「競馬を嫌がらなくなった」マカヒキに復活気配 (2ページ目)

 また、そもそもの話ですが、これまでキタサンブラックが走ってきたコースの中で、今回の東京・芝2000mという舞台が一番合わないと思うんですよね。ジャパンカップの舞台となる東京・芝2400mと違って、マイラーでも力を発揮できる舞台ですからね。とりわけ天皇賞・秋においては、ある程度のテンの速さと、それでも脚がたまるスピード、東京コースならではの上がりの速い決着を制するだけの、終(しま)いの爆発力が求められます。スピードのある馬、決め手のある馬が他にたくさんいるので、キタサンブラックが厳しい競馬を強いられることは間違いないでしょう。

 デキが戻っていれば、好勝負する可能性はありますが、今回に関しては不安要素のほうが大きいですね。

 一方、同期でしのぎを削ってきたリアルスティールは、前走の毎日王冠(10月8日/東京・芝1800m)で快勝し、鮮やかな復活劇を見せてくれました。ムラな面があるのは否めませんが、昨年の天皇賞・秋(2着)と同様、いかにも東京コースで結果を出せるような、好内容の競馬でしたね。

 今回は鞍上が替わって、短期免許を取得して今週末から日本で騎乗するヴァンサン・シュミノー騎手が手綱を取ります。毎日王冠で鞍上を務めたミルコ・デムーロ騎手と比べれば、さすがに日本競馬への慣れや経験は不足しています。それでも、シュミノー騎手はフランスの若手有望株ですから、さほど問題はないでしょう。リアルスティールからは、今年もいい競馬を見せてくれそうな雰囲気が感じられます。

 そのリアルスティールの前走の鞍上だったミルコ・デムーロ騎手は今回、サトノクラウンの手綱を取ります。

 2歳の頃から秘めた素質、能力の高さを随所に示していたサトノクラウン。この馬もまたムラがあって、その能力を存分に発揮するときと、そうでないときとで差がありました。しかし、昨年末の香港で名手ジョアン・モレイラ騎手が手綱を取ってから、何か安定感が増した気がします。

 それまで走らなかった競走馬でも、巧いジョッキーが跨ることによって何かしらのスイッチが入って、そこから結果を出し始めることが実際にあります。モレイラ騎手は、そういうスイッチの入れ方を知っているのだと思います。

 サトノクラウンの他にも、アルバートやイッテツといった馬が、モレイラ騎手を背にして勝利を挙げたあと、いずれも現在ではオープンクラスで活躍するまでになりました。今春、ドバイでGI勝利を挙げたヴィブロスも、鞍上はモレイラ騎手でした。もしかすると、さらなる上昇のスイッチが入った可能性はありますね。

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