サトノダイヤモンドで挑む天皇賞・春。
「負けられない」ルメールの胸中

  • 新山藍朗●文 text by Niiyama Airo
  • 村田利之●撮影 photo by Murata Toshiyuki

 断然1番人気のソウルスターリングで挑んだ桜花賞(4月9日/阪神・芝1600m)は、まさかの3着。続いて、3戦無敗のレイデオロに騎乗した皐月賞(4月16日/中山・芝2000m)も、5着に終わった。

 この春の3歳クラシックにおいて、クリストフ・ルメール騎手の"苦戦"が続いている。

 桜花賞は重い馬場、皐月賞は休み明けと、それぞれ主たる敗因はあった。しかしレース後、ルメール騎手の"消極的な騎乗"にも問題があったのではないか、という声も上がっている。

 2年前、晴れてJRAの騎手となって以来、「うまい」「さすが」と称賛を浴び続けてきたルメール騎手は、こうした声をどんな思いで受け止めているのだろうか。

 一見クールに見えて、実は内に熱く燃えるものを抱えているルメール騎手。そのことは、昨年末の有馬記念を勝ったあとの、涙の勝利騎手インタビューによく表れていた。

 ルメール騎手に直接話をうかがったところ、あの涙には伏線があった。

 昨年の3歳クラシックにおいて、サトノダイヤモンドに騎乗したルメール騎手。その結果、同じく主戦を務めていたマカヒキを手放すことになったが、そのマカヒキに日本ダービーを勝たれてしまった。以来、あちらこちらで「なぜ、マカヒキを選ばなかったのか?」という、多分に批判めいた質問ばかり受けていた。

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