超難解な高松宮記念で、前走大敗のシュウジが狙えるのにはワケがある (2ページ目)

 ただ、日本から近いといっても、前走は海外遠征となる香港での競馬。昔ほど複雑ではありませんが、検疫や移動手段など、普段の出走とは違う状況を強いられます。それが、大敗の原因だったかもしれませんし、その影響がどこまで及んでいるのか、気になるところ。年明け初戦がここになった理由も、海外帰りで調整が難しかった可能性があり、同馬をどう扱うのか、とても難しい判断を強いられます。馬券的にも、レッドファルクスの取捨がカギになりそうですね。

 その他、実績ではGI勝ち馬であるレッツゴードンキ(牝5歳)やスノードラゴン(牡9歳)、前哨戦の好走組ではメラグラーナをはじめ、ナックビーナス(牝4歳)、セイウンコウセイ(牡4歳)、トーキングドラム(牡7歳)、ヒルノデイバロー(牡6歳)らが注目されるのでしょうが、それぞれ一長一短あって、考えれば考えるほど難解なレース、という気がしますね。

 そんな状況にあって、今回の「ヒモ穴馬」には、前哨戦の阪急杯で人気を裏切った前出のシュウジを取り上げたいと思います。

阪急杯惨敗からの巻き返しが期待されるシュウジ阪急杯惨敗からの巻き返しが期待されるシュウジ 阪急杯の際、このコラムでも取り上げましたが(※2月25日配信「阪急杯で本命シュウジを逆転へ。ロサギガンティアに好材料が2つある」)、暮れの阪神C(2016年12月24日/阪神・芝1400m)では、それまでのシュウジのイメージを払拭。控えて脚を溜め、鮮やかな差し切り勝ちを収めました。それ以前から、この馬の持つ潜在能力にはかなりのものを感じていましたが、このレースを見て「これは、ひと皮むけて本格化したかな」と思ったほどです。

 ところが、前走ではスピードを抑え切れずに先行。以前と同じようなレース内容で、なおかつ直線で失速して大敗を喫してしまいました。

 この結果に失望したファンは多いと思いますが、このレースでははっきりとした敗因があると思います。

 まず、イレ込み。レース前からかなりテンションが高く、相当イレ込んでいました。休み明け、ということもあったのでしょう。

 また、単勝1.6倍という圧倒的な1番人気に推されたことも、少なからず影響があったと思います。というのも、これだけ人気を集めると、鞍上としては下手な競馬はできないため、どうしても安全策を取りがちになるからです。その結果、多少出していって好位置を取るつもりが、イレ込んでいた分、ややかかってしまって抑えが効かず、終(しま)いの脚も残せなかったのでしょう。

 阪急杯で敗れたあと、この中間は在厩してじっくり調整されているようですし、前走のようなことはないと思います。また、前走の大敗からおそらく人気も落とすでしょう。4、5番人気くらいでしょうか?

 少なくとも、断然の1番人気だった前走よりも、競馬はしやすいはず。そうして気軽な立場となった今回、再び控える競馬ができれば、阪神Cの再現があってもおかしくありません。

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プロフィール

  • 大西直宏

    大西直宏 (おおにし・なおひろ)

    1961年9月14日生まれ。東京都出身。1980年に騎手デビュー。1997年にはサニーブライアンで皐月賞と日本ダービーの二冠を達成した。2006年、騎手生活に幕を閉じ、現在は馬券を買う立場から「元騎手」として競馬を見て創造するターフ・メディア・クリエイターとして活躍中。育成牧場『N.Oレーシングステーブル』の代表も務め、クラシック好走馬を送り出した。

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