エリザベス女王杯、強い4歳勢の中でも
惹かれるのは人気薄アスカビレン
ダービージョッキー
大西直宏が読む「3連単のヒモ穴」
天皇賞・秋では、「ヒモ穴馬」に取り上げたリアルスティール(7番人気)が2着に入線し、絶好調の本コーナー。これから7週連続となるGIシリーズの第1弾、エリザベス女王杯でも大西直宏氏がとっておきの「穴馬」を推奨する――。
今週は、牝馬限定のGIエリザベス女王杯(11月13日/京都・芝2200m)が行なわれます。ここから年末まで、7週連続のGI開催。注目レースが目白押しで、競馬ファンにはたまらないシーズンの到来ですね。さらに、今年は海外レースの発売がスタートし、日本の有力馬が出走予定の12月の香港カップなどは、一段と盛り上がるのではないでしょうか。
さて、今年のエリザベス女王杯は、例年とはやや違う雰囲気があります。というのも、例年は3歳牝馬と古馬牝馬の「統一女王決定戦」といった様相になるのですが、今年は桜花賞馬をはじめ、オークス馬も、秋華賞馬も出走しないからです。3歳馬で参戦するのは、デンコウアンジュ(牝3歳)とパールコード(牝3歳)の2頭のみ。ちょっと物足りない感じがしますね。
とはいえ、古馬のほうは有力牝馬がズラリ。「女王杯」と言うにふさわしい、好メンバーがそろいました。なかでも、昨年の二冠馬ミッキークイーン(牝4歳)は、主力の1頭と言えるでしょう。
デビューから10戦して、GI2勝を含めて計4勝、2着5回。唯一連対を外したのは、牡馬一線級とも頂点を争うジャパンカップ(8着)。そこでも、勝ち馬からはコンマ3秒差と、現役牝馬の中では屈指の存在です。今春も、同馬には不向きな距離と思われたヴィクトリアマイル(5月15日/東京・芝1600m)で連対を確保。底力を見せつけました。
そもそも同馬にとっては、中距離戦が主体の秋が本線でしょう。その証拠に、使おうと思えば使えた宝塚記念(6月26日/阪神・芝2200m)をパス。消耗を避けて、この秋に備えてきたと思います。
今回はぶっつけの参戦ですが、気性的に休み明けでもきっちり走れるタイプで、問題はありません。女王の座は「誰にも譲らない」といった、貫禄のある走りを見せてくれるのではないでしょうか。
もちろん、昨年の覇者で、宝塚記念ではドゥラメンテ、キタサンブラックらトップホースを撃破したマリアライト(牝5歳)も気になる存在です。が、ミッキークイーンにとってより強敵となるのは、同世代のタッチングスピーチ(牝4歳)だと見ています。
3歳馬でチャレンジした昨年は3着でしたが、直線で馬群をさばくのに苦労した面があり、かなり厳しい競馬を強いられました。その点を考慮すれば、高い評価をしていいと思いますし、この時点でGI級の力があることを示した、と言ってもいいでしょう。
ただ今春は、期待した割には、今ひとつの成績でした。京都記念(2月14日/京都・芝2200m)こそ2着に入ったものの、その後の大阪杯(9着。4月3日/阪神・芝2000m)、目黒記念(6着。5月29日/東京・芝2500m)、宝塚記念(12着)は、牡馬が相手だったとはいえ、見せ場のないレースばかり。残念な結果に終わりました。
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著者プロフィール
大西直宏 (おおにし・なおひろ)
1961年9月14日生まれ。東京都出身。1980年に騎手デビュー。1997年にはサニーブライアンで皐月賞と日本ダービーの二冠を達成した。2006年、騎手生活に幕を閉じ、現在は馬券を買う立場から「元騎手」として競馬を見て創造するターフ・メディア・クリエイターとして活躍中。育成牧場『N.Oレーシングステーブル』の代表も務め、クラシック好走馬を送り出した。