国内初のGI制覇なるか。天皇賞・秋でエイシンヒカリが有利なわけ

  • 新山藍朗●文 text by Niiyama Airo
  • 村田利之●撮影 photo by Murata Toshiyuki

 今や、すっかり逃げ馬のイメージが定着したエイシンヒカリ(牡5歳)だが、もともとは必ずしも「逃げなければダメ」というタイプの馬ではなかった。

天皇賞・秋が日本でのラストランとなるエイシンヒカリ天皇賞・秋が日本でのラストランとなるエイシンヒカリ 実際、海外でふたつ目のGI勝ちとなったイスパーン賞(5月24日/フランス・芝1800m)では、道中2番手の追走から、直線で先頭に立つと、後続を引き離して完勝している。遡(さかのぼ)れば、デビュー戦もまた、同様の競馬で圧勝劇を演じている。

 それは、2014年4月26日、経験馬相手の未勝利戦(京都・芝1800m)だった。エイシンヒカリは、道中3~4番手の好位につけると、直線で馬群から鋭く抜け出して、2着に5馬身の差をつけて豪快な勝利を飾った。

 このとき、同レースを見ていた競馬関係者は一様に、「すげぇヤツが現れた!」と衝撃を覚えたという。というのも、単に勝ち方が鮮やかだったからではなく、その馬の、デビュー戦とは思えないほど流れにうまく乗ったレースぶりに、競走馬としての"奥行き"を感じたからだ。

 当時のことを知る競馬関係者は、「この段階では今日の"逃げて勝つ"エイシンヒカリの姿は、誰も想像できなかったのではないか」と言う。

 ところが、騎手が乗り替わった2戦目、今度は一転、逃げて快勝した。関西の競馬専門紙記者によれば、「ここで、エイシンヒカリの"逃げ馬"としての未来が決定した」という。

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