波乱続きのヴィクトリアマイル。今年かき乱す穴馬はシャルール

ダービージョッキー
大西直宏が読む「3連単のヒモ穴」

 古馬牝馬の「春の女王」を決めるGIヴィクトリアマイル(東京・芝1600m)が5月15日に開催されます。

 舞台は、先週のNHKマイルCと同じ東京の芝マイルコース。思いどおりの位置が取りやすく、ジョッキーにとっては比較的プレッシャーもなくて乗りやすく、"地力勝負"になりやすいコースです。

 しかし、ヴィクトリアマイルに限っては、なぜかこうした傾向が当てはまりません。2006年に新設されて過去10回のレースで、"地力勝負"の結果に収まったと言えるのは、第1回(2006年)のダンスインザムード(2番人気。2着が3番人気のエアメサイア)が勝ったときと、第6回(2011年)の1着アパパネ(2番人気)、2着ブエナビスタ(1番人気)で決まったときくらいでしょうか。その他の年は、展開の紛れがあったり、伏兵馬が激走したりして、波乱の決着となっています。

 その要因のひとつには、牝馬が目標とするレースには、中距離戦が多いことが挙げられると思います。3歳牝馬の三冠では、桜花賞こそマイル戦ですが、オークスが2400m戦で、秋華賞が2000m戦。さらに、古馬vs3歳馬の「秋の女王決定戦」エリザベス女王杯も2200m戦です。

 そうした状況にあって、秋の牝馬GI戦線で活躍した馬は、年が明けて翌春に目標とするレース選択が難しくなります。しかもこの時期は、牡馬との混合戦であっても中距離の適当なレースがない、というのが現状です。結果、好条件とは言えず、ややせわしないレースを強いられることになっても、ヴィクトリアマイルに駒を進めてくる実績馬が多いのだと思います。

 昨年のヌーヴォレコルト(6着)やディアデラマドレ(7着)、一昨年のデニムアンドルビー(7着)やラキシス(15着)などは、おそらくそうした部類の馬たちでしょう。それら実績馬は当然人気となりますが、ここを目標としてきた馬、距離適性で上回る馬たちが台頭し、波乱になることが多いのでしょうね。

 そして今年もまた、昨秋牡馬の一線級相手にジャパンC(2015年11月29日/東京・芝2400m)を制したショウナンパンドラ(牝5歳)に、オークス、秋華賞を勝った二冠馬ミッキークイーン(牝4歳)ら、中距離の舞台でビッグタイトルを手にしてきた実力馬が出走します。

 ここ数年の傾向からして、それら実力馬に対する評価は難しいところですが、後者のミッキークイーンはデビューが1400m戦。その後もマイル戦を使われて結果を出してきているように、もともとマイル向きのスピードと決め手は持っていると思います。

 それを証明したのが、前走の阪神牝馬S(4月9日/阪神・芝1600m)でした。今回に向けての試走だったと思いますが、逃げたスマートレイアー(牝6歳)が勝つ先行有利の流れを、いつもの最後方からではなく、中団のやや後ろで追走。直線に入ると鋭く追い込んで、際どい2着と好走しました。本番でのメドが立つ、十分な結果だったのではないでしょうか。

 距離うんぬんは関係なく、鋭い決め手がこの馬の最大の武器。最後の直線が長い東京コースは、それだけで大きなプラスになると思います。

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