大激戦の高松宮記念、スノードラゴンの華麗なる復活劇を見逃すな
ダービージョッキー
大西直宏が読む「3連単のヒモ穴」
今週は、春の「スプリント王」を決める高松宮記念(3月27日/中京・芝1200m)が開催されます。
かつて、6月下旬か7月上旬に『高松宮杯』という名称で、芝2000mの距離で行なわれていた頃は、古馬トップレベルが集う初夏の大レースでした。ゆえに、当時は6月前半に行なわれていた上半期のグランプリ戦、宝塚記念(阪神・芝2200m)の出走馬がそのまま続戦してくることが多かったですね。ハイセイコーやトウショウボーイ、僕がデビューしたあとでも、ハギノカムイオーなどが、宝塚記念、高松宮杯と連勝を飾っていました。
それが今では、この時期の短距離GIとしてすっかり定着。ファンの間でも、春のGIシーズンの幕開けを告げるレースとして、広く認知されるようになりました。
さて今年のレースは、昨年の覇者で、今回も本命視されていた香港馬エアロヴェロシティ(せん8歳)が、1週間前に出走回避を発表。この週中には、前哨戦であるシルクロードS(1月31日/京都・芝1200m)を勝ったダンスディレクター(牡6歳)も、歩様の乱れから出走回避となりました。ただそれでも、有力馬は五指に余るほど存在し、かなり難解なレースとなりそうです。
まず注目は、回避したエアロヴェロシティを除く昨年の上位組、2着ハクサンムーン(牡7歳)と、3着ミッキーアイル(牡5歳)です。ともに、ここを目標にして、昨年と同じステップを踏んで挑んできただけに、なおさら無視することはできませんね。
ハクサンムーンは、年明け初戦でオーシャンS(3月5日/中山・芝1200m)に出走。結果も、昨年と同じく2着でした。こういったスピードタイプの馬は、比較的ピークは短いように感じますが、ハクサンムーンは第一線で息の長い活躍を見せています。明けて7歳となった今年も、前走を見る限り、衰えは感じられませんでした。
そういえば、僕が現役時代に騎乗していたカルストンライトオもそうでした。同馬も3歳時から7歳時まで毎年重賞で活躍し、6歳のときに念願のGI初勝利を飾りました。
カルストンライトオは、3歳時のアイビスSD(新潟・芝1000m)で3着に敗れたのですが、ハクサンムーンも同じように3歳時に同レースで4着に敗れています。そのとき、カルストンライトオと似たような雰囲気を感じたのですが、実際にそのとおりになりました。
長い間重賞戦線で結果を残し、高松宮記念には4年連続の出走となるハクサンムーン。今回も有力馬の一頭であることは間違いなく、悲願のGIタイトルを手にしてもおかしくありません。
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著者プロフィール
大西直宏 (おおにし・なおひろ)
1961年9月14日生まれ。東京都出身。1980年に騎手デビュー。1997年にはサニーブライアンで皐月賞と日本ダービーの二冠を達成した。2006年、騎手生活に幕を閉じ、現在は馬券を買う立場から「元騎手」として競馬を見て創造するターフ・メディア・クリエイターとして活躍中。育成牧場『N.Oレーシングステーブル』の代表も務め、クラシック好走馬を送り出した。