注目の弥生賞。タイセイサミットが強豪「3頭」に割って入る (3ページ目)
マカヒキのその走りからは、父ディープインパクトを彷彿とさせるものがあります。新馬勝ちのあと、若駒S(京都・芝2000m)を勝って、弥生賞というローテーションも父と同じ。今回の結果次第では、この馬もダービー馬の有力候補となり得ますね。
唯一の気がかりは、新馬(2015年10月18日)を勝ったあと、若駒S(1月23日)までの間がかなり空いたこと。その理由のひとつは、新馬のあとの鼻出血があると思いますが、その場合の出走停止期間は1カ月。近年は早く賞金を加算させたほうが有利ですから、普通であれば、もっと早くに2勝目を狙いにいったはずです。にもかかわらず、それだけの期間が空いたということは、体質的な弱さを抱えているのかもしれません。
これは、あくまで憶測でしかないので、真相はわかりませんが、もしそうなら懸念材料となります。相当な可能性を秘めている馬なので、杞憂に終わればいいのですが……。
前走、弥生賞と同じ舞台で行なわれた寒竹賞を快勝したタイセイサミット リオンディーズ、エアスピネル、そしてマカヒキの3頭は、相当な能力があります。まともに走れば、この3頭でそのまま上位を独占してもおかしくないでしょう。しかし前述したとおり、つけ入る隙がないこともありません。そこで、タイセイサミット(牡3歳)を今回の「ヒモ穴馬」に指名したいと思います。
タイセイサミットは、朝日杯FSではリオンディーズ、エアスピネルに完敗しています。ただ、これまでのこの馬の走りを見る限り、やや忙しいマイル戦よりも、ゆったり運べる中距離戦のほうが合っているように思います。
前走の寒竹賞(1月10日/中山・芝2000m)での勝利が、まさにその証明でしょう。中団後方でじっくりと足をためて、最後の直線では馬群を割って外から伸びてきました。2着との着差はわずかでしたが、勝ち時計(2分00秒7)も、上がり時計(34秒2)も優秀でした。同様の走りができれば、チャンスは十分にあります。
そして、今回と同じ中山・芝2000mという舞台を経験していることが、何より強み。強豪「3頭」にはない、大きなアドバンテージとなるはずです。タイセイサミットが「3強」の一角を崩して、上位に食い込んでも不思議ではありません。
著者プロフィール
大西直宏 (おおにし・なおひろ)
1961年9月14日生まれ。東京都出身。1980年に騎手デビュー。1997年にはサニーブライアンで皐月賞と日本ダービーの二冠を達成した。2006年、騎手生活に幕を閉じ、現在は馬券を買う立場から「元騎手」として競馬を見て創造するターフ・メディア・クリエイターとして活躍中。育成牧場『N.Oレーシングステーブル』の代表も務め、クラシック好走馬を送り出した。
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