検索

注目の弥生賞。タイセイサミットが強豪「3頭」に割って入る

ダービージョッキー
大西直宏が読む「3連単のヒモ穴」

 3月に入って、中央競馬(JRA)は年度替わりとなります。今週から、新人ジョッキーたちがデビューし、新規調教師の方々も開業します。そして今年も、この3月の第1週に桜花賞トライアルのチューリップ賞(3月5日/阪神・芝1600m)、皐月賞トライアルの弥生賞(3月6日/中山・芝2000m)が行なわれ、いよいよ今年のクラシック戦線も本格化。前週までとは、競馬サークル内の雰囲気も一変します。

 牝馬、牡馬、それぞれのクラシックを占うトライアル戦はともに注目ですが、ここでは、今年の日本ダービーでも有力視されそうな馬が出走する弥生賞を取り上げたいと思います。出走頭数はそれほど多くありませんが、2歳GI朝日杯フューチュリティS(2015年12月20日/阪神・芝1600m)の1、2着馬、リオンディーズ(牡3歳)とエアスピネル(牡3歳)に、ノーステッキで2戦2勝という破格の競馬を見せてきたマカヒキ(牡3歳)が参戦。これら前評判の高い3頭の争いは、本当に見ものです。

 まず注視したいのは、朝日杯FSを制して、最優秀2歳牡馬に輝いたリオンディーズ。その決め手は確かに驚異的です。朝日杯FSでは、レースの上がり3ハロンが11秒9、10秒8、11秒7という流れを、4コーナー最後方から大外を回って差し切り勝ちを収めたことには、ただただ驚くばかりです。能力は、間違いなく世代トップクラス。クラシックの最有力候補と言えるでしょう。

 とはいえ、気になることがひとつあります。その朝日杯FSで、なぜあれほど極端な競馬をしたのか、ということです。真意はわかりませんが、もしかすると半兄エピファネイア()と同様、気性的に燃えやすいタイプなのかもしれません。
※2013年菊花賞、2014年ジャパンCを制覇した実力馬。ただし、気性面に課題があって、それが表面化した弥生賞では1番人気ながら4着に敗れた。

 思い返せば、デビュー戦でもかなり折り合いをつけるのに苦労していました。そんな心配があるうえ、しかも朝日杯FSは流れの速いマイル戦。その後の(距離が延びる)クラシックのことを考慮して、あえてあんなに極端な競馬をしたのかもしれません。そういう意味では、まだ危うい面を抱えており、今回の弥生賞こそ、今後に向けての試金石となりそうです。

 鞍上は、最近重賞で目覚しい活躍を見せているミルコ・デムーロ騎手。同騎手は、前日のチューリップ賞でも有力馬のジュエラー(牝3歳)に騎乗し、勝てばJRA重賞騎乗機会6連勝となって、同記録を持つ武豊騎手と並びます。もしそうなれば、弥生賞は新記録のかかる舞台となるかもしれません。リオンディーズの走りともども、ますます目が離せなくなりますね。

1 / 3

著者プロフィール

  • 大西直宏

    大西直宏 (おおにし・なおひろ)

    1961年9月14日生まれ。東京都出身。1980年に騎手デビュー。1997年にはサニーブライアンで皐月賞と日本ダービーの二冠を達成した。2006年、騎手生活に幕を閉じ、現在は馬券を買う立場から「元騎手」として競馬を見て創造するターフ・メディア・クリエイターとして活躍中。育成牧場『N.Oレーシングステーブル』の代表も務め、クラシック好走馬を送り出した。

厳選ピックアップ

キーワード

このページのトップに戻る