【競馬】新潟2歳S、波乱の使者は東京デビューのヒプノティスト
ダービージョッキー
大西直宏が読む「3連単のヒモ穴」
先週の札幌記念では、大西直宏氏が「ヒモ穴馬」に指名したディサイファ(牡6歳)が見事な勝利を飾った。今週も冴え渡る大西氏の予想が的中するか、必見だ。
早くも終盤を迎えた夏競馬。今週は、そんなムードを一層感じさせる重賞、新潟2歳S(8月30日/芝1600m)が新潟競馬場で開催されます。
昨年は、1着ミュゼスルタン(牡3歳)、2着アヴニールマルシェ(牡3歳)で決着、その上位2頭が今年のNHKマイルC(5月10日/東京・芝1600m)で、3着(ミュゼスルタン)、4着(アヴニールマルシェ)と好走しました。一昨年も、1着ハープスター、2着イスラボニータ(牡4歳)が、のちの桜花賞馬(ハープスター)、皐月賞馬(イスラボニータ)となって、今や同レースは、その後のGI候補生を輩出する"出世レース"として注目を集めています。
新潟2歳Sは、設立当初は芝1200m、1997年から芝1400mで行なわれていましたが、2002年から芝のマイル(1600m)戦に変更。関係者の間ではそのときから注目度が増していて、以降、新馬戦が徐々に前倒しされ、2012年から日本ダービー翌週の、6月の東京、阪神開催から新馬戦が始まるようになると、素質馬のデビューも早まり、この時期の2歳重賞にもレベルの高い馬が集まるようになりました。
もちろんそれは、生産から馴致(じゅんち/仔馬を人や馬具に慣れさせたり、競走馬として必要なしつけや指示を教え込んだりすること)・育成と、デビューさせるまでの、牧場での調教技術の進歩があるからこそ。昔は、厩舎に入ってから馴致していましたからね。
さて、そんな話をしておきながら、今年の新潟2歳Sには、ここまでデビューしている中で、目を見張るような勝利を挙げたロスカボス(牡2歳)やポルトフォイユ(牡2歳)、そして2戦目で圧勝したアストラエンブレム(牡2歳)やシルバーステート(牡2歳)など、「クラシック候補」と思われる有力馬が出走してきませんでした。その辺は、ちょっと残念ですね。
ただそれでも、6月の新馬戦(6月7日/東京・芝1600m)で上がり33秒2という、この時期の2歳馬としては驚異的な決め手を披露したロードクエスト(牡2歳)をはじめ、今回と同じ舞台となる新馬戦を快勝したルグランフリソン(牡2歳)や、ウインミレーユ(牝2歳)、さらにオープン特別のダリア賞(8月8日/新潟・芝1400m)を勝利し、出走馬の中で唯一2勝を挙げているペルソナリテ(牝2歳)など、まずまずのメンバーがそろいました。
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著者プロフィール
大西直宏 (おおにし・なおひろ)
1961年9月14日生まれ。東京都出身。1980年に騎手デビュー。1997年にはサニーブライアンで皐月賞と日本ダービーの二冠を達成した。2006年、騎手生活に幕を閉じ、現在は馬券を買う立場から「元騎手」として競馬を見て創造するターフ・メディア・クリエイターとして活躍中。育成牧場『N.Oレーシングステーブル』の代表も務め、クラシック好走馬を送り出した。