【競馬】追悼マンハッタンカフェ。その魂は再ブレイク中の産駒に! (4ページ目)

  • 土屋真光●文 text by Tsuchiya Masamitsu
  • photo by Kyodo News

 2010年、マンハッタンカフェ産駒は、国内のGI勝ちこそなかったものの、レッドディザイアがドバイワールドカップの前哨戦であるGIIアル・マクトゥームチャレンジR3(UAE・AW2000m)を勝利し、ヒルノダムールがGI皐月賞で2着と好走するなどして、前年の好成績がフロックではないことを証明した。それが、翌年の配合相手の質の向上につながり、2012年生まれの現3歳世代の飛躍につながったのではないだろうか。

 配合相手の質の向上については、「ある出来事が影響している」という意外な指摘もあった。その詳細を説明してくれたのは、配合アドバイスなどを行なっている、血統評論家の栗山求氏だ。

「2008年の秋、リーマンショックが発生し、欧米のサラブレッド産業の景気も一気に冷え込みました。セリ市場は、それから数年にわたって低迷していましたね。同時に、この時期の為替レートは、1ドル=80円~90円台を推移し、一時は70円台を記録するほどの円高状態になりました。その際、日本屈指の生産牧場である社台グループは、これを好機と見て、大量の資金を投入し、海外のセリで良血の繁殖牝馬を数多く購入したんです。アメリカの年度代表馬に輝いた女傑アゼリなどは、その代表格。アメリカの古馬牝馬のチャンピオンに輝いたジンジャーパンチもその一頭で、これがルージュバックの母となりました」

 この、社台グループの積極的な購買活動の裏には、飽和状態になりつつあるサンデーサイレンスの血への対策という事情もあったが、「こうした状況が、マンハッタンカフェにとっては追い風になったのではないか」と栗山氏は言う。

「ディープインパクトもそうですが、マンハッタンカフェも、基本的にアメリカ血統と相性がいい種牡馬なんです」

4 / 5

厳選ピックアップ

キーワード

このページのトップに戻る