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【競馬】真夏の祭典・札幌記念。特注馬は本格化したディサイファ

ダービージョッキー
大西直宏が読む「3連単のヒモ穴」

 夏の北海道シリーズの"大目玉"、札幌記念(札幌・芝2000m)が8月23日に開催されます。ルージュバック(牝3歳)の回避もあって、「ハープスターvsゴールドシップ」の一騎打ちに沸いた昨年と比べると、やや話題性に欠けるかもしれませんが、今後が楽しみな粒ぞろいのメンバーがそろいました。

 昨秋の菊花賞馬トーホウジャッカル(牡4歳)をはじめ、今春の大阪杯(4月5日/阪神・芝2000m)で強豪牡馬を一蹴したGI馬のラキシス(牝5歳)、さらに函館記念(7月19日/函館・芝2000m)を勝ったダービーフィズ(牡5歳)や、同2着のハギノハイブリッド(牡4歳)、そしてGI戦線で常に好走してきたラストインパクト(牡5歳)など、興味深い面々がズラリ。ここを勝てば、秋の大舞台での活躍も見込めるだけに、必見のレースとなりますね。

 上位人気が予想されるのは、いまだGIでの実績はありませんが、前走の函館記念を快勝し、本格化気配のあるダービーフィズでしょうか。なにしろ、手綱を取るのが、JRA重賞で騎乗機会5連勝中の岩田康誠騎手ですからね、人気になりそうです。

 その5連勝ですが、どれも技ありのレースぶりでした。岩田騎手は、馬の脚を伸ばす、保たせる騎乗技術に長けています。そのうえで、レースの流れと位置取りによって、臨機応変に対応できる感性、いわゆるペース判断と予測力(前にいる馬が動くかどうかの予測)が抜群なのだと思います。

 また、今はものすごく調子がよくて、その"読み"がズバリと当たっているのでしょう。そんな「乗れている」ジョッキーが騎乗するわけですから、より期待度が高まります。

 もちろんダービーフィズにしても、3歳の春には「クラシック候補」と言われた逸材です。5歳の夏を迎えて、その素質が開花しようとしています。ここから秋に向けて、注目の一頭であることは間違いありませんね。

 トーホウジャッカル、ラキシスというGI馬2頭からも目が離せません。

 昨年の菊花賞(2014年10月26日/京都・芝3000m)を制したトーホウジャッカルは、同レースで好位から押し切る横綱競馬を披露。しかも、それまでのレコードを1秒7も上回る好時計(3分1秒0)をマークしての圧勝劇でした。3000mの長距離レースで、これほどの内容の競馬ができるなんて、恐るべき心肺能力の持ち主です。

 さらに驚かされたのは、前走の宝塚記念(6月28日/阪神・芝2200m)でした。古馬GI級がそろったハイレベルな一戦に、その中間で順調さを欠いたトーホウジャッカルは、ひと叩きもできずに菊花賞以来となるぶっつけで挑んできました。それだけに、正直「厳しいだろうな」と思っていたのですが、レースではそうした不安を一掃。上位争いに加わって、4着と好走しました。

 このレースで「ただのGI馬ではないな」と、同馬への認識を改めましたね。順調なら、トーホウジャッカルも秋には大舞台を賑わせてくれる存在になるでしょう。宝塚記念よりもレベルが劣るメンバー構成で、自身にも上積みがある今回は、勝ち負け必至だと思います。

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著者プロフィール

  • 大西直宏

    大西直宏 (おおにし・なおひろ)

    1961年9月14日生まれ。東京都出身。1980年に騎手デビュー。1997年にはサニーブライアンで皐月賞と日本ダービーの二冠を達成した。2006年、騎手生活に幕を閉じ、現在は馬券を買う立場から「元騎手」として競馬を見て創造するターフ・メディア・クリエイターとして活躍中。育成牧場『N.Oレーシングステーブル』の代表も務め、クラシック好走馬を送り出した。

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