【競馬】ヴィクトリアマイル。「一強」ヌーヴォレコルトは安泰か
ダービージョッキー
大西直宏が読む「3連単のヒモ穴」
東京競馬場におけるGI5週連続開催。そのスタートを飾った先週のNHKマイルC(5月10日/芝1600m)では、天皇賞・春(5月3日/京都・芝3200m)でゴールドシップ(牡6歳)を勝利に導いたのに続いて、またも横山典弘騎手の騎乗が冴え渡りました。3番人気クラリティスカイ(牡3歳)の能力を存分に発揮させて見事に快勝。2週連続のGI勝利を飾りました。今年で47歳となるベテランですが、その手腕の高さには恐れ入るばかりです。
そんな横山騎手は、今週も古馬牝馬限定GIのヴィクトリアマイル(5月17日/芝1600m)で、パワースポット(牝7歳)に騎乗予定でした。しかし、同馬は賞金が足りずに除外。3週連続GI制覇の夢はレース前に絶たれてしまいましたが、横山騎手の"ここ一番"での手綱さばきは競馬界屈指。大舞台においては今、最も「結果を出せるジョッキー」と言えるのではないでしょうか。
さて、肝心のヴィクトリアマイルですが、有力候補に挙げられていたハープスターが電撃引退して繁殖入り。昨秋のエリザベス女王杯(2014年11月16日/京都・芝2200m)を制し、今春の大阪杯(4月5日/阪神・芝2000m)で牡馬一線級を打ち破ったラキシス(牝5歳)も、次走は宝塚記念(6月28日/阪神・芝2200m)に向かうとのこと。そうなると、昨年のオークス馬ヌーヴォレコルト(牝4歳)の"一強"といった様相になりそうです。
なにしろヌーヴォレコルトは、エリザベス女王杯2着のあと、前走の中山記念(3月1日/中山・芝1800m)では、皐月賞馬のロゴタイプ(牡5歳)やイスラボニータ(牡4歳)、そして香港のGIクイーン・エリザベスII世C(4月26日/香港・芝2000m)で2着と好走したステファノス(牡4歳)ら、強豪牡馬を一蹴したのです。
確かに、最内の最内という経済コースを突いたことは大きかったと思いますが、見方を変えれば、その狭いところを屈強の牡馬相手に抜け出してくること自体、すごいこと。まして、雨が降って緩い馬場になっていたことを考えると、その精神的なタフさは相当なモノと言えます。牡馬相手のGIでも勝ち負けできる"器"で、牝馬限定戦のここでは負けられないでしょう。陣営も、そのつもりで仕上げてきていると思います。
ヌーヴォレコルトの他、GI馬はショウナンパンドラ(牝4歳)、レッドリヴェール(牝4歳)、メイショウマンボ(牝5歳)、そして海外GI(オールエイジドS/オーストラリア)を制したハナズゴール(牝6歳)の4頭が出走します。ただ、それぞれ近走の成績は芳しくなく、ヌーヴォレコルトを破るほどの強調材料がありません。
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プロフィール
大西直宏 (おおにし・なおひろ)
1961年9月14日生まれ。東京都出身。1980年に騎手デビュー。1997年にはサニーブライアンで皐月賞と日本ダービーの二冠を達成した。2006年、騎手生活に幕を閉じ、現在は馬券を買う立場から「元騎手」として競馬を見て創造するターフ・メディア・クリエイターとして活躍中。育成牧場『N.Oレーシングステーブル』の代表も務め、クラシック好走馬を送り出した。