【競馬】本命ルージュバックに死角。ディープ産駒の逆転がある

  • 平出貴昭(サラブレッド血統センター)●文 text by Hiraide Takaaki
  • photo by Nikkan sports

4月特集 春競馬、クライマックス(4)

 今年の牝馬クラシック第1弾・GI桜花賞(4月12日/阪神・芝1600m)は、牡馬相手の重賞・GIIIきさらぎ賞(2月8日/京都・芝1800m)をステップに3戦3勝で出走するルージュバックが主役としてレースを迎えそうだ。

 昨年いっぱいで引退したジェンティルドンナに続く"女傑"候補と見られている同馬にとっては、このレースは通過点のひとつに過ぎないという見方もあるが、「競馬に絶対はない」というのは競馬界の格言でもあり、常識。当日の展開や馬場状態、馬の体調や精神状態などによって、大本命馬が敗れるのは、そうめずらしいことではない。ましてや経験の浅い3歳牝馬。ルージュバックについても同様だろうし、どんなレースでも"人気馬を疑ってかかる"という行為は無謀なことではないのである。

紅梅Sを勝ったコンテッサトゥーレ。桜花賞と 相性のいいディープ産駒で、逆転候補の1頭だ紅梅Sを勝ったコンテッサトゥーレ。桜花賞と 相性のいいディープ産駒で、逆転候補の1頭だ

 まずはそのルージュバックを分析してみよう。父はGI菊花賞(京都・芝3000m)などを勝ったステイヤー、マンハッタンカフェで、母ジンジャーパンチはBCディスタフなど米GI6勝の名牝だ。ただ、母系の血はダート向きで、母の父にオーサムアゲインを持つ馬は、芝に限ると1800m以上しか勝利がないというデータもある。ルージュバックの臨戦過程を見ても、初のマイル(1600m)戦であり、これまでスローペースしか経験していないので、この距離特有のハイペースに戸惑う可能性も十分。スムーズな競馬ができれば、ぶっちぎりの圧勝もあり得る力の持ち主だが、この舞台では全幅の信頼は置きにくい。

 逆転候補として、注目したいのがディープインパクト産駒である。何しろ、この桜花賞では2011年の産駒デビュー以来4連覇(マルセリーナ、アユサン、ジェンティルドンナ、ハープスター)と、最も得意としているGIレースなのだ。

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