【競馬】過去の傾向から読み解くフィリーズレビューの穴馬

ダービージョッキー
大西直宏が読む「3連単のヒモ穴」

 3月7日に桜花賞トライアルのチューリップ賞(阪神・芝1600m)が、翌3月8日には皐月賞トライアルの弥生賞(中山・芝2000m)が行なわれました。チューリップ賞はココロノアイ(牝3歳)、弥生賞はサトノクラウン(牡3歳)が制し、それぞれ本番でも楽しみな馬が結果を出しましたね。

 3歳クラシックに向けたトライアル戦は、まだまだ続きます。3月15日には桜花賞トライアルのフィリーズレビュー(芝1400m)が阪神競馬場で開催されます。

 このフィリーズレビューは、GIIレースです。当然、1着賞金はGIIIのチューリップ賞(3400万円)よりも多く、5000万円と高額です。しかしながら、毎年メンバーがそろうのは、桜花賞(阪神・芝1600m)と同じ舞台で行なわれるチューリップ賞。おかげで、レースの格は上でも、例年フィリーズレビューに参戦するメンバーレベルは、チューリップ賞に比べて劣ることが多いですね。

 実際、ここを勝って、桜花賞も制した馬というのは、数えるほどしかいません。10年前のラインクラフト(2005年)や、それ以前でもレース名が「報知杯4歳牝馬特別()」だった頃の、キョウエイマーチ(1997年)とメジロラモーヌ(1986年)が記憶にあるくらい。桜花賞には直結しにくいレースと言えます。
※日本では2000年まで馬の年齢は数え年を用いて表記。例えば、現3歳馬は当時4歳馬とされていた。

 その理由は、桜花賞本番とのコースの違いというのもありますが、最たるものは、賞金が高いゆえ、「桜花賞よりも、トライアルのここが勝負」という馬が多く参戦し、この舞台で目いっぱいの勝負を仕掛けてくるからではないでしょうか。ましてや、桜花賞の1600mという距離が長い馬にとっては、1400m戦のここはまさに"本番"となりますからね。

 そうした過去の傾向をひも解いてみて、今年、まず注目されるのは、コートシャルマン(牝3歳)です。

 デビューから1400m戦で2連勝を飾ったコートシャルマン。その内容も良かったため、GI阪神ジュベナイルフィリーズ(12月14日/阪神・芝1600m)では3番人気に推されました。しかし、結果的には「マイル戦は少し長いかも?」と思わせるような内容で、10着と敗戦。次走のフェアリーS(1月12日/中山・芝1600m)も、同じような感じで4着に敗れました。

 振り返れば、半姉レッドオーヴァル(牝5歳)は、2年前の桜花賞で2着と健闘しましたが、同馬のベストパフォーマンスと言えば、その後のオークス馬メイショウマンボ(牝5歳)をあっさり差し切った1400m戦の紅梅S(京都)でした。半兄ストロングリターンにしても、2012年の安田記念(東京・芝1600m)を制覇しているものの、1400m戦の京王杯SC(東京)で最も強い競馬を見せていました。

 さらに、その上の兄ダイワマックワンは、1200m戦がベストの短距離馬でした。そうした血統背景を踏まえれば、コートシャルマンも、桜花賞よりもこのレースにこそ、大いに勝負気配を感じます。

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